...その彼にはいつの頃からか世にも不思議な病気が取りついたのです...
江戸川乱歩 「鏡地獄」
...そしていつの頃からか...
大阪圭吉 「銀座幽霊」
...そのうちに、弟のお機嫌をとるために、あなたの著書を弟から借りて読み、面白かったり面白くなかったり、あまり熱心な読者ではなかったのですが、六年間、いつの頃からか、あなたの事が霧のように私の胸に滲(し)み込んでいたのです...
太宰治 「斜陽」
...誰が、いつの頃、この石に風車の名を与えたのか、また最初にこの石を、神前に据(す)えつけたのは何の目的に出でたものか、それはその道の研究家に聞きたい...
中里介山 「大菩薩峠」
...それをそそのかしたのは不破の関守氏でありまして、関守氏は、つい昨晩、お銀様に向って、こんなことを言いました――「醍醐の三宝院へ参詣してごらんなさいませ、あそこの庭が名作でございます、しかし、庭よりもなお、その道の人を驚かすのは、国宝の絵画彫刻でございまして、その絵画の数々あるうちに、ことに異彩を極めたのは大元帥明王(だいげんみょうおう)の大画像でございます、大元帥(だいげんすい)と書きましても、帥の字は読まず、ただ大元明王と訓(よ)むのが宗教の方の作法でございますが、あの大画像は、いつの頃、何者によって描かれたものか存じませんが、いずれは一千年以前のものでございましょう、幅面の広大なること、図柄の奇抜なること、彩色のけんらんなること、いずれも眼を驚かさぬはありません...
中里介山 「大菩薩峠」
...やがてその蝶がみえなくなると、いつのまにか、今迄流れてもゐなかつた川床に、水はさらさらと、さらさらと流れてゐるのでありました……幻影私の頭の中には、いつの頃からか、薄命さうなピエロがひとり棲んでゐて、それは、紗(しや)の服なんかを着込んで、そして、月光を浴びてゐるのでした...
中原中也 「在りし日の歌」
...いつの頃よりしてそれが來れるかを知らない...
萩原朔太郎 「青猫」
...いつの頃か吹き倒れたであろう枯れたトド松を...
本庄陸男 「石狩川」
...いつの頃からか私をさう称んでゐた...
牧野信一 「悪筆」
...しかるにいつの頃よりかこの句を無上の佳句なるが如く言ひなし...
正岡子規 「古池の句の弁」
...いつの頃からともなしに私はさうなつて来た...
水野仙子 「脱殼」
...田舎の二字をいつの頃よりかイナカと訓ませている...
柳田國男 「地名の研究」
...いつの頃からか三尺坊を迎えて祀っています...
柳田國男 「日本の伝説」
...それがいつの頃よりか神々の出雲行きという解釈に傾いて行ったと見るの他はないのだが...
柳田国男 「年中行事覚書」
...いつの頃よりか「めいめい盃」というものが発明せられた...
柳田国男 「木綿以前の事」
...私達はいつの頃からというようなことはなく...
山崎富栄 「雨の玉川心中」
...いつの頃からか浪人して...
吉川英治 「新書太閤記」
...いつの頃になって――」と...
吉川英治 「新書太閤記」
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