...いっそのこと軍人を少しやり...
日本経済新聞社 「私の履歴書」
...いっそのこと別(わか)れてしまえばかえって気は安いが...
伊藤左千夫 「老獣医」
...清六が思うに、此の三人の人々を自分が手にかけて殺すのはよいが、きっと召使の女共が大勢取り縋(すが)って騒ぐであろう、もしも彼等に邪魔をされて仕損じたら厄介である、いっそのこと、自分が先に腹を切って手本を示す方がよいかも知れぬ、と、そう考えたので三人に向い、追っ付け都からお迎えが参るでござりましょうが、賤(いや)しい者の手におかゝりなされ、一門の御名を汚すようなことがあってはなりませぬから、そのお迎えの来ぬうちに御最期をお急ぎなさりませ、ついては私、一と足お先にお供をさせて戴きますと、云いも敢(あ)えずに腹を十文字に掻き切って死んだ...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...またはいっそのこと旅行に出ることである...
ドストエーフスキイ 神西清訳 「永遠の夫」
...いっそのこと死んでしまったがいいだろう! しかしわれわれは...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...いっそのこと、どこまでもお前さんに面倒を見てもらいたいと、わしは思っているのだが」「どう致しまして、わたくしなんぞは御面倒を見ていただけばといって、お力になれるわけのものではございません」「いや、あの通りの我儘者(わがままもの)だから、お前さんのような、しっかりした者が付いていてくれると、わしも安心じゃ」「痛み入ったお言葉でございます、そのお言葉だけを勿体(もったい)なく頂戴して、一生の宝に致したいと存じます」「そういうわけだから、ドコかしかるべき地面家作のようなものがあったら、ひとつお世話をしていただきたい、あれの暮して行けるだけのことはしておいて帰りたいと思いますからね」「そうしてお上げ申した方がお嬢様のお為めならば、ずいぶん御周旋を致しましょう」「無論、その方があれのためになる、それでは万事よろしく頼みますぞ」「畏(かしこ)まりました、早速、そのつもりで明日からでも、恰好(かっこう)なところを探しにかかりましょう...
中里介山 「大菩薩峠」
...いっそのことそこの塀のそとへキャンプでも張ってしまいましょうか()島田の方へわざわざあの本(文芸百科辞典の)送って下さって本当にありがとうございました...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...いっそのこと武士を棄てようと決心いたした...
森鴎外 「阿部一族」
...いっそのこと引きかえそうかと思ったり...
セルマ・ラーゲルレーヴ Selma Lagerlof 矢崎源九郎訳 「ニールスのふしぎな旅」
...「こんなことなら、いっそのこと、森のなかでけものに食べられるほうがよかったわ...
グリム Grimm 矢崎源九郎訳 「ヘンゼルとグレーテル」
...いっそのこと出逢い裁面(さいめん)として...
柳田國男 「日本の伝説」
...いっそのこと、城を出て、曹操の陣門に降ろうではないか」「……でも、城壁の四方は滔々(とうとう)たる濁流だろう」「いやまだ東の関門だけは、山の裾にかかっているので、道も水に浸(ひた)されていない」「そうか……」侯成は、血の中から眼を開いて、ぽかっと天井を見ていたが、不意に、むっくりと起き上がって、「やろう! 決行しよう...
吉川英治 「三国志」
...いっそのこと、突っ込もうか」と逸(はや)ったが、王平が、「敵にどんな隙があろうと、ここだけの状況で作戦の機約をかえることはできない」と固く持して、なお根気よく、火の手を待っていた...
吉川英治 「三国志」
...相互して一身のために、万民をくるしめているよりは、どうだ、いっそのこと、一騎打ちの勝負をして、雌雄(しゆう)を決しようではないか...
吉川英治 「私本太平記」
...――徐々には、兄の尊氏にせまって、これまでの師直の罪科をかぞえ上げ、将来のためをも説いて、このさい彼を流罪に処すか、いっそのこと、死を賜うとして、切腹を命じるかの、いずれかの決断をせまるのを目的としてその方にもっぱら力をそそいでいたのである...
吉川英治 「私本太平記」
...……どうでしょう、いっそのこと、梁山泊へ誘って一しょに連れて行っては?」すると、聞こえもしないはずなのに、時遷(じせん)は跳び上がってよろこんだ...
吉川英治 「新・水滸伝」
...いっそのことやめて引っ返そうかと惑(まど)った...
吉川英治 「親鸞」
...「……アアいっそのこと忘れてしまいたい」青い海が...
吉川英治 「宮本武蔵」
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