...おいたわしいお首(つむり)をお下げなすったままうすら寒い風の中にひとり立っておいででした...
有島武郎 「燕と王子」
...ああ、おいたわしいな...
泉鏡花 「婦系図」
...いたわしい)母親は...
海野十三 「霊魂第十号の秘密」
...それぞれ御惨死(ござんし)なされたのはまことにおんいたわしいかぎりです...
鈴木三重吉 「大震火災記」
...おいたわしいことだわいと...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...「おいたわしいことです」長い沈黙が...
久生十蘭 「墓地展望亭」
...続く誠にいたわしい時間を過ごされてから...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「王冠の重み」
...おいたわしい――ご家老」「何です?――」と阿賀妻はひらき直った...
本庄陸男 「石狩川」
...寄託を受けた自分が不誠実者になったことでもお気づかわしさが倍加されておいでになるであろうのがおいたわしいと院はお思いになった...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...「おいたわしい御主人様!」「わが大切な友よ!」「ああおなつかしい父上!」「可愛い娘よ!」というような繰り言がわたしの胸を刺す時も...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...その時には姫御前とはつゆ知らず……いたわしいことにはなッたぞや...
山田美妙 「武蔵野」
...「ああそうだよ、みんなねえ、そう云うよ、あたいのことをね、うす馬鹿だって、みんなそう云うけどねえ、あたいはそんなねえ、うす馬鹿じゃありゃしない、これでもねえ、あたいは、ごや、……ごやく、ごやくいんなんだってよ、もの凄いような、本当だよ、ごやく、ごや、ごやくいんだかやねえ、よきに取り扱え」「それみろ、聞いたかいまのお言葉を」吾助は荘重な眼つきをした、「御落胤をごやくいんと仰しゃる、この下情に通じていらっしゃらぬところが、おまえたちにはわからねえのは情けない、実に涙がこぼれる、御自分からうす馬鹿ではないと仰しゃる御胸中、あッあ、おいたわしいと、おまえたちが思わないということは、女はさてさて浅墓なものなるかな」「浅はねえ、ああ、浅はあたい知ってるよ」若者はにたにた笑い、貧乏ゆすりをする、「あいつはうす馬鹿だぜ、本当だよ、あいつねえ、あたいの貰いをねえ、取っちゃうんだ、けれどもあたいは、いまに、いまに、……あたいはいまに、おだ、おだいもくになるんだってよ、そ云ったよ、本当だよ、本当にあの人がそ云ったぜ」「おだいもくと仰しゃるのはお大名ということだ、いいか」吾助は震えだした、「御自分の口から、この儂を御信頼あればこそ、秘中の秘をお漏らし、いや、いやお漏らしではない、お漏らしは後架でして頂く」「ばかばかしい気でも違ったのかい」ごうつくは厚い唇を反らせ、鼻の孔を上へ向けた...
山本周五郎 「長屋天一坊」
...「ひとめ会いたいという気持もおいたわしいし...
山本周五郎 「日本婦道記」
...おいたわしいとは...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...劉予州(りゅうよしゅう)様かよ」「おいたわしい事ではある」と...
吉川英治 「三国志」
...おいたわしいといってもなお言いたりない...
吉川英治 「私本太平記」
...ア――おいたわしい! とおもわず睫毛(まつげ)に涙のさす顔をそむけて...
吉川英治 「神州天馬侠」
...「おいたわしい」と...
吉川英治 「親鸞」
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