...その滞在中(たいざいちゅう)その別荘で偶然私が耳にしたある悲惨な出来事の顛末(てんまつ)である...
芥川龍之介 「疑惑」
...あれ程の子煩悩がいざ絵を描くと云ふ段になりますと...
芥川龍之介 「地獄変」
...次に聞居たる少歳は堪へかねた面持にいざり出でゝ...
伊藤左千夫 「古代之少女」
...知らず知らずじりじりとそのほうへいざっていく...
江戸川乱歩 「影男」
...次に伊耶那岐(いざなぎ)の神...
稗田の阿礼、太の安万侶 「古事記」
...いざやわが慈母、アテーネー神女の宮をさして行け、われはパリスの許を訪ひ彼に命ぜん、わが言に 280彼もし耳を貸すとせば...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...いざ御祈祷(ごきとう)となると...
豊島与志雄 「正覚坊」
...いざ最後に夜(よる)となつて秋の木の葉が墳墓に散りかゝる處になると...
永井荷風 「新歸朝者日記」
...其処此処(そここゝ)に製造場(せいざうば)の烟出(けむだ)しが幾本(いくほん)も立つてゐるに係(かゝは)らず...
永井荷風 「すみだ川」
...「でも、この騷ぎでは眞階下(ました)に休んでゐられませんよ、八五郎親分と來たら、太神樂(だいかぐら)と仁輪加(にわか)をけしかけたやうで」「そいつは氣の毒だつたな、その代り、お前の顏色も良くなつたぢやないか」「お蔭樣でね、あれを聽くと氣が晴々としますよ」「ところで、お前も天井裏に大金を隱してあつたことを、薄々は知つてゐたことだらうな」「口惜(くや)しいけれど、何んにも知りやしません、出戻りで肩身を狹く暮してゐるから、お小遣も儘(まゝ)ぢやない、氣が付けば、天井裏を煤だらけになつて這ひ回り、たまに小判といふものを拾ふ氣になつたかも知れないけれど、――でも、色消しねえ、いざとなつたら、私にそんなこと出來るか知ら?」お粂は面白さうに笑ふのです...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...義気凜然(りんぜん)として威武も屈する能(あた)わず富貴も誘(いざの)う能わず...
福沢諭吉 「日本男子論」
...軽いざわめきが、ずっと遠くのほうから、非常な速さで近づいてくる...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「墓地へゆく道」
...奥さんは不精らしく又少しいざり出て...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...いざと言う時の間には会わんよ...
森本薫 「華々しき一族」
...羽後仙北郡淀川村大字中淀川字殻笈沢(からおいざわ)などの例も幾分右の想像を助けるようだ...
柳田國男 「地名の研究」
...いざというときに...
横光利一 「旅愁」
...沢は、自身の頸を叩いて、「いざ、斬るなら、早く斬れ」と、迫った...
吉川英治 「三国志」
...また叡山(えいざん)焼打のこと...
吉川英治 「新書太閤記」
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