...ほんとにいい景色でした...
伊藤野枝 「書簡 大杉栄宛」
...六花ヒンプンのちょっといい景色かも知れないが...
大杉栄 「獄中消息」
...さて兎は、その島の夕景をうつとり望見して、「おお、いい景色...
太宰治 「お伽草紙」
...いい景色だ、と思うと、我知らず心が澄んで、路傍の叢に、かすかに虫の鳴く声がするようだ……...
豊島与志雄 「逢魔の刻」
...いい景色であったが...
直木三十五 「南国太平記」
...いい景色だものですから...
中里介山 「大菩薩峠」
...その大橋の半ば頃へ来た時分――まだ時刻は早過ぎるほど早いことですから、さしも頻繁な美濃廻りと東海、東山への咽喉首(のどくび)も、近く人馬は稀れに、遠く空気は澄みきっていたから、橋の上に立ちどまった道庵が、米友をさし招き、「どうだ、いい景色だろう、この橋はこれ、尾張の国では第一等の長い橋でな――上から下、横から縦まで、檜(ひのき)ぞっきだ、檜のほかには一本も使わねえところが、さすが尾州領だけのものはある」そうして橋を一通り見せた上で、今度は頭を四方に振向け、「今日もいい天気で仕合せだ、見な、友様、四方の山々を……そうら、あれが木曾の御岳――駒ヶ岳、加賀の白山、こちらの方へ向いて見な、ええと、あれが江州の伊吹山さ、それからそれ、美濃の養老山、金華山、恵那山……」道庵も名古屋城頭の経験から、もはや相当に地図を頭に入れて置くと見える、しかじかと説明して、伊勢の――と言おうとしたが、どっこい、この野郎には伊勢は鬼門だと、あぶないところで食いとめ、「そうら、ぐるりと廻れば三河の猿投山、三河とは三河の国のことで、三河は遠江(とおとうみ)の隣りで、遠江は遠州ともいう……お城を見な、名古屋の城を見な、金の鯱(しゃちほこ)へ朝日があたり出して、あの通りキラキラ輝いているところは素敵なもんじゃねえか」道庵が喋々(ちょうちょう)として米友のために風物を説明している前面から、砂煙をまいて走(は)せ来る一隊がありました...
中里介山 「大菩薩峠」
...なるほど、いい景色だなあ、たいしたものだなあ、さすがは仙台様だ――といったような、赤毛布(あかげっと)が誰もする通り一遍の感嘆のほかには、七兵衛として、別段に名所古蹟を縦横から見直すという手段はありません...
中里介山 「大菩薩峠」
...「ちょっといい景色(けしき)でしょう...
夏目漱石 「三四郎」
...逃げるにかまけて、左程にも思わなかったが、さすがここいらは名の響いた中山七里、いい景色だなあ...
長谷川伸 「中山七里 二幕五場」
...「実にいい景色だねえ...
宮沢賢治 「蛙のゴム靴」
...実に所謂いい景色にちんまりしていたのが...
宮本百合子 「九州の東海岸」
...午後四時頃まで実に晴れ渡って、沖を宇部へ通う曳船が重く並んで通るのが見え、水無瀬島の方もよく見え、いい景色でした...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...これはいい景色だと思ひ...
室生犀星 「京洛日記」
...とにかく実にいい景色だ...
森本薫 「華々しき一族」
...たびたびああいい景色と賞めた...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...アアいい景色だなあと感じた時のような場合...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??