...あれ以来、娘の茫然(ばうぜん)とした無口にわたしは手古擦(てこず)つてゐる...
犬養健 「愚かな父」
...もっとも、知らせるといっても、博士はあれ以来、ずっと面会謝絶(めんかいしゃぜつ)で、意識がはっきりしないということだから、知らせようがないわけだね」「だれが経営しているんだろうか...
海野十三 「超人間X号」
...あれ以来、どうも調子がよくないんだよ」「困ったわねえ...
海野十三 「ふしぎ国探検」
...どういうものかあれ以来急に気が弱くなってしまった...
海野十三 「什器破壊業事件」
...あれ以来、心休まる日はなかった――ただの一日も...
アーサー・コナン・ドイル Arthur Conan Doyle 三上於菟吉訳 「グローリア・スコット号」
...あれ以来何の音沙汰(おとさた)もなかった...
徳田秋声 「仮装人物」
...先年諏訪因幡守殿(すわいなばのかみどの)が人足どもに困らせられたという渡しはこれか」「あれ以来...
中里介山 「大菩薩峠」
...あのお方は泣いておいでになります、あれ以来、毎日泣きつづけておいでになります...
中里介山 「大菩薩峠」
...あれ以来、たよりのなかった砂地省造が、一敗地に塗れた様子は新聞の商況面で知れた...
長谷川伸 「奇術考案業」
...「あれ以来絵筆を忘れてゐたが...
牧野信一 「悪筆」
...おまけに、あれ以来まるで、俺あ製板の職工と同じ事をやつて、唯奉公みてえに働らいて来てるんだ...
三好十郎 「地熱」
...(即ち曽ての新劇人達の中で、あれ以来、映画でござれ芝居でござれ、金にさえなれば、そして少しでも多い金にさえなれば、その余の事はどうでもよいと言う「お役者根性」になった者達がいる...
三好十郎 「俳優への手紙」
...あれ以来どんなことがあっても半之助のことは口にせず...
山本周五郎 「初蕾」
...後白河法皇が叡山へ難をお避けになったあれ以来のことである...
吉川英治 「私本太平記」
...――が、あれ以来、(秀吉に通じて、われを廃(はい)さんと謀(はか)る逆臣ども)と、ふかく思い込んでいた信雄には、この三名の顔を見るのも、憎悪に胸がむかつく程だった...
吉川英治 「新書太閤記」
...泉岳寺の門前はあれ以来雑閙(ざっとう)した...
吉川英治 「新編忠臣蔵」
...二武蔵という名は、彼の胸に、あれ以来、忘れ得ないものになって深く刻まれていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
...ばばもまた、あれ以来は、(きょうまでの、わしが罪と、心得違いより、そなたを不幸にした償(つぐな)いには、きっと、武蔵どのへ、ばばが両手をついて詫びても、そなたの身を、よいように頼んで進ぜるぞよ)そういって、一族の者はもとより村の誰彼(たれかれ)へも、お通と又八との、かつての古証文は、きれいに破棄して、やがてお通の良人たる人は、武蔵でなくてはならないと、自分の口からいうほどに変っていた...
吉川英治 「宮本武蔵」
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