...ありたけの懐中物を帯の間から取り出して見ると...
有島武郎 「或る女」
...こんなに ありたけ こぼして しまっては...
五十公野清一 「一休さん」
...ありたけの蝋燭を点じてその中に坐り...
江見水蔭 「月世界跋渉記」
...ピエロはありたけのパンをすつかり食べてしまふと...
鈴木三重吉 「小犬」
...ありたけの烟草が一どきに燃え出して...
高村光雲 「幕末維新懐古談」
...舌やペンから出るあらゆる言葉の中で一番悲しいのは「かくありたけれど」という言葉だと結論する者もあつた...
G・K・チェスタートン G. K. Chesterton 村崎敏郎訳 「ブラウン神父の醜聞」
...夏着(なつぎ)冬着ありたけの襤褸(ぼろ)の十二一重(じゅうにひとえ)をだらりと纏(まと)うて...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...ありたけの提灯と二三人の人手を狩り出して...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...そのありたけの力で...
葉山嘉樹 「海に生くる人々」
...さる子細あればこそ此処(ここ)の流れに落こんで嘘(うそ)のありたけ串談にその日を送つて...
樋口一葉 「にごりえ」
...ありたけの胸のおもいを寄せるようになった内藤房子は...
平林初之輔 「人造人間」
...夜すがらありたけの悪事を行い...
南方熊楠 「十二支考」
...嬋娟(せんけん)たる妓女インドにありたけの音曲を尽し...
南方熊楠 「十二支考」
...ノンテオクたちまち惚(ほ)れて思いのありたけ掻(か)き口説(くど)く...
南方熊楠 「十二支考」
...私は袂からありたけの金を彼女にあたえようとしたが...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...ですから先祖の王様は国中にありたけの道ばたに...
夢野久作 「オシャベリ姫」
...真心のありたけを傾けた...
吉川英治 「宮本武蔵」
...しかし筋肉を怒張させ表情のありたけを外面に現わしたそれらの相好(そうごう)よりも...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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