...想像するだけでも眠くなるやうだ! 今著(き)てゐるこの著物を――重い、重いこの責任の著物を脱ぎ棄(す)てて了(しま)ったら(ああ、うっとりする!)私のこの身体が水素のやうにふうわりと軽くなって、高い高い大空へ飛んでゆくかも知れない――「雲雀(ひばり)だ」下ではみんながさう言ふかも知れない! ああ!――――――――――――――死だ! 死だ! 私の願ひはこれたった一つだ! ああ!あ、あ、ほんとに殺すのか? 待ってくれ、ありがたい神様、あ、ちょっと!ほんの少し、パンを買ふだけだ、五―五―五―銭でもいい!殺すくらゐのお慈悲(じひ)があるなら!新らしき都の基礎やがて世界の戦(いくさ)は来らん!不死鳥(フエニツクス)の如き空中軍艦が空に群れて、その下にあらゆる都府が毀(こぼ)たれん!戦(いくさ)は永く続かん! 人々の半ばは骨となるならん!然(しか)る後、あはれ、然る後、我等の『新らしき都』はいづこに建つべきか?滅びたる歴史の上にか? 思考と愛の上にか? 否、否...
石川啄木 「詩」
...君の動物まね声にもなってありがたいよ」と...
岩野泡鳴 「猫八」
...ありがたいことにはもうひとりの黒装束が...
橘外男 「亡霊怪猫屋敷」
...心では彼がちやほやしてくれないのがかえってありがたいのだった...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...道案内をしてくださるのはありがたいけれど...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...余のごときもののために時と心を使われたありがたい人々にわが近況を知らせるためである...
夏目漱石 「思い出す事など」
...その結果として冒頭だか序論だかに私の演説の短評を試みられたのはもともと私の注文から出た事ではなはだありがたいには違ないけれども...
夏目漱石 「現代日本の開化」
...ありがたいと礼を云う閑(ひま)もないうちに...
夏目漱石 「坑夫」
...まあありがたい」「あんまりありがたくもないでしょう」「いやありがたいよ」「宅(うち)の方が病院よりはまだましだとおっしゃるんでしょう」「まあその辺かも知れないがね」津田はいつもの調子でこう云った後で...
夏目漱石 「明暗」
...……さまざまにお心をつかってお手配をくださったことはありがたいと申しあげたいところですが...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...二人にはありがたい...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「鉄面皮」
...だが、ありがたい、パニックは終わりました」ドッと歓声が沸き起こった...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「バブル崩壊」
...「ありがたい幸せで」ほんとうにありがたかった...
正岡容 「寄席」
...御親切はありがたいと思いますが...
ルイザ・メイ・オルコット L. M. Alcott 水谷まさる訳 「若草物語」
...ついでに駅まではこんでもらえるとありがたいですがねえ...
三好十郎 「猿の図」
...まず何よりもありがたい事でございます...
森鴎外 「高瀬舟」
...ありがたい入仏供養のありさまを...
吉川英治 「親鸞」
...「ありがたい」こういう場合...
吉川英治 「宮本武蔵」
便利!手書き漢字入力検索