...あまつさえこの感状を戴いた...
泉鏡花 「海城発電」
...あまつさえもしもこちらより向こうのほうが強い場合には物理学的困難にまで逢着しなければならぬ不便があるため...
伊丹万作 「雑文的雑文」
...あまつさえ自然主義が勃興して創作の権威が他の集団に移ったので...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...あまつさえ彼らの利害には何の関係もないはずの私の片腕を折り...
海野十三 「放送された遺言」
...あまつさえ写生の道具などをも運んで贋(にせ)の現場を作り上げるなどと云う余裕は持てないことになる...
大阪圭吉 「闖入者」
...あまつさえ彼らは...
ドストエーフスキイ 中山省三郎訳 「カラマゾフの兄弟」
...そして「立てっ、尋常に、勝負せい」兄は、片膝立てて、刀をもって「尋ねた甲斐あって――よくも、父を欺し討とし、あまつさえ、お上を欺き奉ったな...
直木三十五 「三人の相馬大作」
...あまつさえ袋叩きにしてしまったのである...
中村地平 「霧の蕃社」
...田舎(いなか)の実科女学校まで出た千穂子が、こうしたあやまちを犯し、あまつさえ、父との間に女の子供を生んでしまったと云うことは哀(かな)しい運命に違いない...
林芙美子 「河沙魚」
...それだけでも淋しい谷中の深更け――あまつさえ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...吉村 (パッパッパッと六、七歩右奥へ畳を飛びさがって抜刀)卑怯っ!井上 卑怯は貴様だ! 侫奸め、覚悟っ!兵藤 (井上は自分に向って斬ってかかったもので、それを吉村が防いでくれたのだと思い)頼んだ! 危ない、甚伍左!(と縁側を飛降りてくぐり戸から外へ走り出て行く)吉村 (ジリッと平正眼に構えながら)それでは、初めからそのつもりで……? 筑波の命を受けてか?井上 言うなっ! もちろんだ! お為(ため)派奸党のふところ刀などと、ことごとに我が筑波正義党へ向って小策を弄し、あまつさえ、薩長にまで手を伸す犬め、許す訳には行かんのだ...
三好十郎 「天狗外伝 斬られの仙太」
...あまつさえ士籍の外(ほか)にありなどとさえいわれたのである...
森鴎外 「渋江抽斎」
...将軍家がお代りになっても、実際に、庶民の中に立ち交じって政治(まつり)をする良いお奉行や良吏がなくては」「決して適材とも存ぜぬが、越前も、なしうる最善はつくす所存でござる」「それなのに、なぜ、この度(たび)のような些事(さじ)に、お心を労し、あまつさえ、その職も御一身も、自ら破り去るような短慮な道をえらばれるか」「もう止めましょう……」越前守は、ふと気を更(か)えて、楽翁の一徹を宥(なだ)めるように――「御老人...
吉川英治 「大岡越前」
...「何だって、虎に翼を貸し、あまつさえ、野に放ったのですか...
吉川英治 「三国志」
...あまつさえ罪もない民家をあんなに焼き払うなどはちと気狂い沙汰だ...
吉川英治 「私本太平記」
...あまつさえ、こよい初雪見参のお召を畏(かしこ)んで参ったわれに、理不尽なこの乱暴とは何事ぞ...
吉川英治 「私本太平記」
...あまつさえ清風山の賊魁(ぞっかい)と通じて...
吉川英治 「新・水滸伝」
...戦野へくり出した六千余の山兵のうち、帰りえた者は三分ノ一にも足らず、あまつさえ、頭目(とうもく)のなかの林冲(りんちゅう)、雷横、李逵(りき)、石秀、黄信(こうしん)らまでが、みな負傷して、かつぎこまれて来るという惨状なのだ...
吉川英治 「新・水滸伝」
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