...あまつさえ手をあげて...
芥川龍之介 「さまよえる猶太人」
...あまつさえ、目に爽(さわや)かな、敷波の松、白妙(しろたえ)の渚(なぎさ)どころか、一毛の青いものさえない...
泉鏡花 「開扉一妖帖」
...あまつさえ額面に表装するというは言語道断である...
内田魯庵 「硯友社の勃興と道程」
...あまつさえ彼らの利害には何の関係もないはずの私の片腕を折り...
海野十三 「放送された遺言」
...その彼女が、いわば召使の斎藤老人に、弱点をつかれ、あまつさえ、なき夫の口からも聞いたことのない、はげしい叱責を受けて、くやしさに、のぼせ上ったのは無理もない...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...あまつさえわがいいつけをしりぞけて余人にたのめとは何ごとだ」と...
谷崎潤一郎 「盲目物語」
...あまつさえ筆紙書物まで何一ツふそくこれなく...
徳富蘇峰 「吉田松陰」
...あまつさえ向うの藁屋根(わらやね)の下からは七面鳥の啼(な)きごえさえのんびりと聞えていて...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...あまつさえ、誰の「芸」でも決してよく言わない...
正岡容 「寄席」
...それだけでも淋しい谷中の深更け――あまつさえ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...あまつさえ士籍の外(ほか)にありなどとさえいわれたのである...
森鴎外 「渋江抽斎」
...将軍家がお代りになっても、実際に、庶民の中に立ち交じって政治(まつり)をする良いお奉行や良吏がなくては」「決して適材とも存ぜぬが、越前も、なしうる最善はつくす所存でござる」「それなのに、なぜ、この度(たび)のような些事(さじ)に、お心を労し、あまつさえ、その職も御一身も、自ら破り去るような短慮な道をえらばれるか」「もう止めましょう……」越前守は、ふと気を更(か)えて、楽翁の一徹を宥(なだ)めるように――「御老人...
吉川英治 「大岡越前」
...鐘巻自斎の力を借りて、卑怯な勝ちを制した宮津の京極家は、その後ますます近国へ羽振りを利(き)かし、あまつさえ、先頃も江戸城内で、将軍家を初め諸侯列席の所に於いて、喋々(ちょうちょう)と当時の自慢話をいたし、この忠房に満座の中で、赤恥をかかせおった...
吉川英治 「剣難女難」
...あまつさえ、己を知らんなどとは、慮外(りょがい)な奴」斬ってしまえと陣外へ突きだしたが、賈の同僚が憐れんで懸命に命乞いをしたので、「命だけは助けておくが、以後、無礼な口を開くとゆるさんぞ」と、幕中に投げこんで謹慎を命じた...
吉川英治 「三国志」
...あまつさえ、こよい初雪見参のお召を畏(かしこ)んで参ったわれに、理不尽なこの乱暴とは何事ぞ...
吉川英治 「私本太平記」
...戦野へくり出した六千余の山兵のうち、帰りえた者は三分ノ一にも足らず、あまつさえ、頭目(とうもく)のなかの林冲(りんちゅう)、雷横、李逵(りき)、石秀、黄信(こうしん)らまでが、みな負傷して、かつぎこまれて来るという惨状なのだ...
吉川英治 「新・水滸伝」
...あまつさえ弟子善信には...
吉川英治 「親鸞」
...あまつさえ法外科五十余...
吉川英治 「親鸞」
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