...裸体の男があぶくを吹き吹き...
エドワード・シルヴェスター・モース Edward Sylvester Morse 石川欣一訳 「日本その日その日」
...油はジュウジュウとあぶくを湧き立てて対流をはじめ...
海野十三 「科学者と夜店商人」
...彼は私の身体を石鹸のあぶくだらけにして...
江戸川乱歩 「孤島の鬼」
...その拍子にお菊さんは己(じぶん)の呼吸(いき)があぶくのようになって口から出るのを感じた...
田中貢太郎 「萌黄色の茎」
...今はただ泥の泡(あぶく)だけだ...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...あぶく銭を儲(もう)けたがるやからが...
中里介山 「大菩薩峠」
...「泡(あぶく)、泡、泡……泡(あわ)んぶく、おお泡んぶく、敵(かたき)を取ってくりょう、泡んぶく、お前敵を取ってくりょう、敵を取ってくりょう」と叫びながら、とうとう番頭の手にかかって無惨の死を遂げてしまいました...
中里介山 「大菩薩峠」
...主人が苦しみもがく断末魔の表情と、頼むにも、訴えるにも、生き物という生き物が一つも見えない苦しまぎれに、眼前に漂うあの泡(あわ)んぶくを見て、「泡(あぶく)、泡、泡、泡んぶく、おお、泡んぶく、敵(かたき)を取ってくりょう、泡んぶく、お前、敵を取ってくりょう、敵をとってくりょう」と絶叫した主人の、血みどろな形相(ぎょうそう)を想い出すと、さすがにいい気持はしないで、一時は面色(かおいろ)を変えてみたが、それが静まると、かえって今度は反抗的に、一種の痛快味をさえも覚ゆるようになりました...
中里介山 「大菩薩峠」
...先生あぶく銭がはいったのでとても嬉しくてどうしようかと色々考えた末...
中谷宇吉郎 「先生を囲る話」
...ちょいちょい不意のあぶく銭が入ると...
中谷宇吉郎 「先生を囲る話」
...そこら中あぶくだらけにして……」そんなことを...
長谷川時雨 「マダム貞奴」
...賭博場(ばくちば)の賽の目次第で転げ込んだ泡沫銭(あぶくぜに)だ...
長谷川伸 「瞼の母 二幕六場」
...あぶくを載せた上潮の(うねり)が...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...現代の社会の軌道からそれたあぶくを顕微鏡で見たようなのが...
平林初之輔 「昭和四年の文壇の概観」
...あれ、お口から血が――もっともっと、指にお力をお入れなさいと申しますに――ほ、ほ、ほ――お二人とも、案外お弱いのねえ――ほ、ほ、ほ――とうとう、身うごきもなさいませんのね――お鼻やお口から、血あぶくが、吹き出すだけで――」と、いいつづけた、黒い影――格闘する二人が、互に、咽喉首をつかみ合って、指先を肉に突ッ込んだまま身をこわばらせてしまったのを、しばしがあいだ、じっと見つめていたが、やがて、もはや呼吸もとまり、断末魔の痙攣(けいれん)もしずまったのを見ると、ぐっと側に寄って、睨(ね)めおろして、「覚えたか! 広海屋、長崎屋――人間の一心は、かならずあとを曳いて、思いを晴らす――松浦屋清左衛門が怨念は、一子雪太郎に乗りうつり、変化自在の術をふるい、今こそここに手を下さず、二人がいのちを断ったのじゃ、わからぬか、この顔が――かくいうこそ、雪太郎が後身、女形雪之丞――見えぬ目を更にみひらき、この顔を見るがよい」サッと、垂らした髪の毛を、うしろにさばいて、まとっていた灰黒い布を脱ぎすてると、見よ、そこに現れたのは、天下一の美男とうたわれる、中村雪之丞にまがいもなかった...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...牛乳と卵とのあぶくを食べながら...
カミイユ・ルモンニエエ Camille Lemonnier 森林太郎訳 「聖ニコラウスの夜」
...ぶくぶく浮き上る真黒なあぶくや...
横光利一 「上海」
...たまに水の泡(あぶく)が幾つか浮び上がってきて...
ルナール Jules Renard 岸田国士訳 「博物誌」
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