...――あの野郎にあて違ひをさせて呉れよう...
關口存男 「新獨逸語文法教程解説」
...こないだも、柳井(やない)(と、やはり弟の学友で、子爵の御次男のかたのお名前を挙げて)の兄貴の結婚式に、あんちきしょう、タキシイドなんか着て、なんだってまた、タキシイドなんかを着て来る必要があるんだ、それはまあいいとして、テーブルスピーチの時に、あの野郎、ゴザイマスルという不可思議な言葉をつかったのには、げっとなった...
太宰治 「斜陽」
...……それから重右衛門も来て見物して居たぢやないか」「重右衛門も?」「あの野郎...
田山花袋 「重右衛門の最後」
...そして、その人々の代りに、上士の人々が、それらの二男が、三男が入って来たが、上役は、蔭でそっと「物の役に立たぬ」と、呟くし、下役の人々は「何んだ、あの野郎」と、軽蔑した...
直木三十五 「南国太平記」
...あの野郎のことだから...
中里介山 「大菩薩峠」
...けれども総体に「あの野郎」という心持ちのほうが勝っていた...
夏目漱石 「手紙」
...何とかしてあの野郎をフン捕まへなきア...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ここがあの野郎の太いところさ」「…………」「刺されたのが覘(ねら)ったお才でなくて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「あの野郎の巣はわかつて居ます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「親分の鑑定通りだ――あの野郎が主人の葬いの後片づけも済まぬうちから飛び出して...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...あの野郎が――?」「小用に下へ降りた帰りの悪戯(いたずら)だ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...あの野郎がまさか?」「考へて見るが宜い...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「あの野郎のことだから...
平林初之輔 「動物園の一夜」
...あの野郎に決まってる...
牧逸馬 「双面獣」
...心あたりがねえと言ったッてかい? まあ見ておいで――あの野郎だって...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...俺ああの野郎の面(つら)を見るのが心底(しんそこ)嫌(きれ)えなんだ...
宮地嘉六 「煤煙の臭ひ」
...五郎蔵、T「あの野郎、日に一度はきっと半次の家へ行きますから行ったが最後」「一ぺんにフン縛られます」てな事言って居ます...
山中貞雄 「中村仲蔵」
...あの野郎、妙な所で笛を吹いていやがるが、何しにこんな所へ舞い込んで来たのだろうか」釘勘と金吾の二人は、腕をこまねいて社家の窓から彼の挙動を注視しておりましたが、神楽堂の上の伊兵衛自身は、笛に熱しきッていて、今は、笛以外何ものも知らない顔つきでした...
吉川英治 「江戸三国志」
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