...野卑陳套の曲を反復して...
上田敏 上田敏訳 「海潮音」
...いやに肩を怒らした野卑な書体で...
太宰治 「惜別」
...街じゅうが野卑な無学さや貪慾や叱責や不潔さや...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「決闘」
...それは窮乏な家庭に成長した丈に野卑なさもしい処もありはあつたが...
長塚節 「隣室の客」
...教育の精神は単に学問を授けるばかりではない、高尚(こうしょう)な、正直な、武士的な元気を鼓吹(こすい)すると同時に、野卑(やひ)な、軽躁(けいそう)な、暴慢(ぼうまん)な悪風を掃蕩(そうとう)するにあると思います...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...ゆえにだんだんいわゆる理想の奥を探るとすこぶる賤(いやし)むべき野卑(やひ)なる動機に到着することがしばしばある...
新渡戸稲造 「自警録」
...男性としての無分別な本性が――野卑で...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...ずいぶん野卑な連中とも接触しなければならなかったけれど...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...田舎流の野卑たる酔漢を真似ても...
牧野信一 「川蒸気は昔のまゝ」
...凡て技巧的で野卑を衒つたが...
牧野信一 「スプリングコート」
...そして極めて野卑であるばかりなのだ...
牧野信一 「僕の酒」
...「見ゆる限りは桜なりけり」などいえるも極めて拙(つたな)く野卑(やひ)なり...
正岡子規 「歌よみに与ふる書」
...野卑なりやすき俗語も野卑ならしめざりき...
正岡子規 「俳人蕪村」
...奇警なる者の野卑に陥りやすきは固(もと)より然(しか)り...
正岡子規 「俳人蕪村」
...野卑な言葉を遣うはずがない...
三田村鳶魚 「中里介山の『大菩薩峠』」
...野卑であっても気持のきれいな男が...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...そして打水でぬれた石は野卑でなまなましく...
室生犀星 「庭をつくる人」
...それはほとんど野卑獰猛(どうもう)な李楽の手下ばかりだった...
吉川英治 「三国志」
便利!手書き漢字入力検索