...それで通常は決して無情酷薄な父ではないのである...
伊藤左千夫 「春の潮」
...張った顎(あご)のあたりが何か酷薄な感じで宇治に迫って来た...
梅崎春生 「日の果て」
...逃がしたサラゴッサの市民は酷薄な復讐を受けなければならなかった...
リットン・ストレチー Lytton Strachey 片岡鉄兵訳 「エリザベスとエセックス」
...印度人は英国の虐政に泣きつつ一方においては自分らの仲間の賤民(ハリジャン)階級三千万にどれほどの酷薄な待遇を与えているかということ...
橘外男 「ナリン殿下への回想」
......
辻潤 「「享楽座」のぷろろぐ」
...現段階の酷薄な情勢のなかにあっては...
中井正一 「図書館法ついに通過せり」
...社長室へ入ると酷薄な打算と創意が潮のように心の中におしあげてきて...
久生十蘭 「三界万霊塔」
...酷薄な谷が呑み込んでしまった...
久生十蘭 「地底獣国」
...印東はいよいよもって酷薄な面つきになり...
久生十蘭 「魔都」
...惨忍酷薄な認定がなくなる丈でも...
平出修 「畜生道」
...忘れることのできない酷薄な笑いであった...
山本周五郎 「赤ひげ診療譚」
...口髭のある端麗な、どっちかというと女性的な彼の顔に、酷薄な、人間らしくない表情があらわれた...
山本周五郎 「五瓣の椿」
...こういう酷薄なまねはできないだろう...
山本周五郎 「失蝶記」
...その貧欲酷薄な妻君からひきだそうと計ったわけらしい...
山本周五郎 「陽気な客」
...外界の酷薄な圧迫を細々ながらこの全身の支柱に堪えて行こう...
与謝野晶子 「鏡心灯語 抄」
...その妾(しょう)を奪ったりなど――残忍酷薄な数々の経歴は...
吉川英治 「新書太閤記」
...貴様の酷薄な処置に...
吉川英治 「松のや露八」
...生涯いじいじ小金を蓄えて死んで行った酷薄なる叔母の良人(おっと)――それよりは...
吉川英治 「宮本武蔵」
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