...一種のなつかしみを持つ横浜の市街を見納めにながめようとせず...
有島武郎 「或る女」
...この格子戸も見納めか...
泉鏡花 「歌行燈」
...すつかりそれも見納めにしなくちやならない――ノラ 下らないこと...
ヘンリック・イブセン Henrik Ibsen 島村抱月譯 「人形の家」
...私は自分の家を見納めに見ておこうと振り返ったが...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「妻」
...これが見納めになるかも知れねえ」「仕方がねえ...
直木三十五 「南国太平記」
...一人が「師匠、首でも、縊(くく)るのかい? この世の名残って――」南玉は、湯を呑みながら、御叩頭をして「ただ今、その訳を――」そうして、湯呑を置いて、張扇で、ぽんと一つ、見台を叩いて「さて、かようの晩の御入来、一方ならぬ御贔屓のせいと、ひたすらに、専(もっぱ)ら、感涙に咽び泣いております――ええ、そもそも、南玉、一世一代、これが見納め、聞き納め、笑い納めの、泣き納め、たんだ、納まらないのは、胸の内――」ぽんと、自分の胸を叩いた...
直木三十五 「南国太平記」
...「これ、お梅」藤堂平助は慄(ふる)えていたお梅の襟髪(えりがみ)を取って、「よく見ておけ、これが見納めだ、貴様の可愛ゆい殿御(とのご)の最期(さいご)のざまはこれだ」「どうぞお免(ゆる)し下さい」「しかし美(い)い女だな」「芹沢が迷うだけのものはある」藤堂と沖田とは面(かお)を見合せて、土方と近藤との方に眼を向ける...
中里介山 「大菩薩峠」
...これが江戸の見納めという意味にはならないが...
中里介山 「大菩薩峠」
...あるいはこれが親子の見納めになるかも知れないと云う懸念(けねん)があったならば...
夏目漱石 「思い出す事など」
...これがドイツの見納めだといふ氣持もあつたので...
野上豐一郎 「キフホイザー」
...お互の顏の見納めに灯を入れて見ようぢやないか」さう言ひながら音次郎は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...うしろに切火打かくる女房の顏もこれが見納めか十人ぎりの側杖無理情死(しんぢう)のしそこね...
樋口一葉 「たけくらべ」
...これが見納めになるかも知れんぜ...
三好十郎 「好日」
...それは暖かい南国の見納めであつた...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...最後の見納めのように頭を高くあげたが...
ジャック・ロンドン Jack London 山本政喜訳 「荒野の呼び声」
...それがチイ嬢(ちゃん)の顔の見納めだったんで……今度目...
夢の久作(夢野久作) 「人間腸詰」
...果敢(はか)なくも二十一歳を一期(いちご)としてこの世の光りを見納めました...
夢野久作 「名娼満月」
...それがあんたの夢の見納めだろう」「なるほど...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「ぶどう畑のぶどう作り」
便利!手書き漢字入力検索