...今は見上げる許り高い黒塗の板塀になつて居る...
石川啄木 「葬列」
...空を見上げると、空魔艦はどこへ飛びさったか、あの大きな翼も見えないし、エンジンの音も聞えない...
海野十三 「大空魔艦」
...高さが百尺近い天井を見上げると判るのだが...
海野十三 「夜泣き鉄骨」
...見上げると此上はもう頂上まで筒抜けで...
高浜虚子 「斑鳩物語」
...闇夜の空に朧(おぼろ)な多角形を劃するわが家の屋根を見上げる時に...
寺田寅彦 「柿の種」
...いずれも見上げるような大きな物で...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...ボートから見上げる城がいい景色なので...
直木三十五 「死までを語る」
...見上げると二階の裏窓にも灯影(ほかげ)がさしてゐる...
永井荷風 「来訪者」
...すぐ眼の前に見上げるばかりに聳えている...
中谷宇吉郎 「天地創造の話」
...自分の立っている左右の二階屋などは――宿屋のように覚えているが――見上げるほどの高さであるのに...
夏目漱石 「坑夫」
...旦那様」お通が斜下から見上げる眼は...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...僅かに避(よ)けて、上を見上げると、高々とした畠に小笹と雜木が繁つて居り、その間をチラリと人影が見えたやうですが、道の無い崖を追つかけて登つたところで、相手はそれを待つて居る筈もなく、その醜體さを考へただけで、平次は思ひ留つてしまひました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...藤木氏一門のどれも美事な見上げるような墓石が...
長谷川時雨 「朝散太夫の末裔」
...じっと見上げるのである...
葉山嘉樹 「信濃の山女魚の魅力」
...見上げる丘の上には上りかけた月が浮かんでゐた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...見上げると、その坂の中途にまだ転(ころ)がっているらしいものがまるで花ざかりの灌木(かんぼく)のように見えた...
堀辰雄 「美しい村」
...終にこの見上げるような大岩になったのだといっております...
柳田國男 「日本の伝説」
...平馬の凄じい血相を見上げると...
夢野久作 「斬られたさに」
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