...俺の心の奧には俺の良心を裏切る樣々の慾望が常に動いてはゐなかつたか...
阿部次郎 「三太郎の日記 第二」
...有力なる其筋の刑事によって証明せられた事実を裏切る私の陳述が...
江戸川乱歩 「一枚の切符」
...もっともなが年の同志を裏切るのに連中がいくら厚顔でも相談はできなかったのかもしれない」「心の底まで鉱毒がまわって...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...あの先生の親切を裏切るのが...
太宰治 「惜別」
...如何なるヒューマニストも民衆を裏切ることは出来まい(ナチ・ドイツに於ける文芸学上のヒューマニズムが如何にドイツ・ファシズム文化理論の典型の一つであるかに就いては...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...一同を裏切ることになるもんだから……...
豊島与志雄 「街の少年」
...」唖々子はかつて硯友社(けんゆうしゃ)諸家の文章の疵累(しるい)を指したように、当世人の好んで使用する流行語について、例えば発展、共鳴、節約、裏切る、宣伝というが如き、その出所の多くは西洋語の翻訳に基くものにして、吾人(ごじん)の耳に甚(はなはだ)快(こころよか)らぬ響を伝うるものを列挙しはじめた...
永井荷風 「十日の菊」
...金が欲しさに親しい友人迄裏切るような下劣な奴に...
中島敦 「南島譚」
...彼は決して裏切ることも渝(かわ)ることもなかった...
野村胡堂 「楽聖物語」
...「番頭は?」「仲間割れがしたか――主人(あるじ)の總七が裏切る樣子でもあつたので手を廻したのかも解りません」「引續いて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...喜々として他人を裏切る連中だ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「諜報部」
...おまえの粗雑な頭脳は? おまえの綿密でない思索力は? それよりもおまえの中に燃えていておまえが押え切れない情熱は?」実際私の情熱は私が冷静を装おうとすればするほど裏切る力を増してゆくように感ぜられて...
三木清 「語られざる哲学」
...裏切ることの罪悪感との板挾みになっている苦痛が...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...或る場合は骨肉をも裏切るくらゐの兇勇を金の爲には奮ひ出すからである...
吉川英治 「折々の記」
...お味方を裏切るとは」すると...
吉川英治 「新書太閤記」
...師の僧正を裏切る者だなどと...
吉川英治 「親鸞」
...わしは御主人を裏切るのでもない...
吉川英治 「茶漬三略」
...それを裏切る武蔵ではないことを...
吉川英治 「宮本武蔵」
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