...秋ふかき隣は何をする人ぞかう云ふ荘重の「調べ」を捉(とら)へ得たものは茫々たる三百年間にたつた芭蕉一人である...
芥川龍之介 「芭蕉雑記」
...夢の中の髭茫々(ひげぼうぼう)の乃公の顔にすっかり手を入れて置いて...
海野十三 「不思議なる空間断層」
...茫々と果しのない薄(すすき)ヶ原のなかの...
徳田秋聲 「霧ヶ峰から鷲ヶ峰へ」
...しかるに今や天破れ、地驚き、滔々たる洪水は天に漲(みなぎ)り、山となく、川となく、城となく、市となく、水天茫々、ただ瀾飛び、濤舞うの今日において宇内の大勢に抗せんとする、それ難からずや...
徳富蘇峰 「将来の日本」
...自分ひとりが茫々(ぼうぼう)と置き捨てられている光景です...
中里介山 「大菩薩峠」
...然らざれば茫々たる芒である...
長塚節 「佐渡が島」
...だん/\進んで見るから茫々たるあたりへ行つた時彼は船底の棹を取つてしばらく突張つて居たが...
長塚節 「土浦の川口」
...茫々たる高山的湿原を展開し...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...腐蝕土の灰汁と泥土とで、黒褐色に濁った水は、茫々たる原野に、ひとしお荒涼の感を与えている...
中谷宇吉郎 「異魚」
...髯こそ茫々(ぼうぼう)と生えて居りますが...
野村胡堂 「悪人の娘」
...橋桁の下から這い上った茫々たる頭の持主...
野村胡堂 「悪人の娘」
...茫々とした叢がある...
原民喜 「魔のひととき」
...その頃の草茫々たる武蔵野を大風の吹きまくつて居た光景がこの歌を読むとどうやら現はれて来る...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...つひに今日(こんにち)見(み)るような茫々(ぼう/\)として...
本多靜六 「森林と樹木と動物」
...日没に及んで茫々たる墓場にさしかかれり...
宮崎湖処子 「空屋」
...顔には無精鬚が茫々と伸び...
夢野久作 「巡査辞職」
...夏(なつ)茫々(ぼうぼう)――思いあわせればこの夏の初め頃から...
吉川英治 「三国志」
...草茫々(ぼうぼう)として無住寺のような寂寞(せきばく)さ...
吉川英治 「鳴門秘帖」
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