...体裁を繕う為により苦痛を受けなければならぬ中流下層階級の貧困だった...
芥川龍之介 「大導寺信輔の半生」
...振(ふり)を繕う遑(いとま)もなく...
泉鏡花 「婦系図」
...すべては世間体を取り繕う...
伊藤野枝 「転機」
...一体どんなものじゃ」父親は網のほころびを繕う手を少しも休めないで...
海野十三 「火星兵団」
...その孔を具合よく繕うた...
ロバート・ルイス・スティーヴンソン 佐藤緑葉訳 「醫師と旅行鞄の話」
...鼻緒の切れた時に手軽に繕うことの出来る革の仕掛紐(しかけひも)をいただいて...
太宰治 「斜陽」
...どう考えてもこの場合を巧(うま)く云い繕う口実がないので...
谷崎潤一郎 「細雪」
...破れた上草履を繕うて当面の跣足から免かれた...
種田山頭火 「一草庵日記」
...そういう片言で破(やぶ)れ靴(ぐつ)の底でも繕うがいい...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...この人だなと思って文枝さんがとり繕うように紹介するあいだにひとわたり見る...
中勘助 「結婚」
...夫の品性を取り繕うのだろうと善意に解釈した彼は...
夏目漱石 「道草」
...間の悪そうに席を繕うのでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...自分の取乱した態度を繕うために...
野村胡堂 「笑う悪魔」
...この訪問客には何も取繕うことは要(い)らないというように...
フランツ・カフカ Franz Kafka 原田義人訳 「審判」
...さりげなしに几帳を引き繕うふうをしてにわかに袖(そで)から出したのである...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...右近はあとを繕うために残り...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...知らなかったのにはあくまでも普通の死であったように取り繕うことに侍従と右近は骨を折った...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...霊魂を繕うことは稀である...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
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