...求める者の到着を迎へる空しい華かさも...
阿部次郎 「三太郎の日記 第一」
...○人間の生活とは畢竟水に溺れて一片の藁にすがらうとする空しいはかない努力ではないのか...
有島武郎 「運命と人」
...「さようなら」されてみるとひどく空しい詰らぬことのように思われたのである...
田中英光 「さようなら」
...空しい枝の桑畠にはつぐみが鳴き...
田山花袋 「田舎教師」
...これらの頁の中になされかつ……実感したのである この強烈な言葉はディッケンズにあっては決して空しい嘘ではないであろう...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...哲学と科学との関係に就いての今まで述べたような近代の様々な解釈の空しい努力も亦...
戸坂潤 「科学論」
...落着いた静かな空しい心境だった...
豊島与志雄 「或る男の手記」
...空しい中にただ一つ...
豊島与志雄 「反抗」
...久美子は空しい抵抗をつづけながら...
久生十蘭 「肌色の月」
...おそらく彼等は彼等の生を空しい或は辛い夢(そのために彼等は何時も餘計に疲れたやうに...
堀辰雄 「色褪せた書簡箋に」
...何と私にとつて空しい思ひか――と私は唇を噛まずには居られなかつた...
牧野信一 「タンタレスの春」
...空しい魅力に富んだ毒...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ある幸福」
...全く空しい気持ちになって自然力に従う場合が今だと思う...
横光利一 「欧洲紀行」
...氷島の漁夫達の空しい墓は...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...再び空しい顔をして馬春堂の露店へ帰って来て...
吉川英治 「江戸三国志」
...折角の予の志もすべて空しい気がされる...
吉川英治 「三国志」
...空しい日が幾日か過ぎて...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...眼に見えぬ彼ルパンは空しい大捜索の幾日間を...
モーリス・ルプラン 菊池寛訳 「奇巌城」
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