...移り香の(憂しや)つめたくなりまさる如...
芥川龍之介 「芥川龍之介歌集」
...酒臭い彼の移り香が...
芥川龍之介 「南京の基督」
...出家した女の移り香をただよはせ...
大手拓次 「藍色の蟇」
...もしか古帽子にふだん自分が使ひ馴れた髪油の移り香さへしみてゐなかつたなら...
薄田泣菫 「独楽園」
...かの手紙の移り香が仄(ほの)かに残っている抽斗を開けてもみた...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「ふみたば」
...なお二三日はその移り香が頬や掌(てのひら)や袂(たもと)などに沁(し)み着いていたので...
谷崎潤一郎 「少将滋幹の母」
...ただ困るのはこの女のお白粉の移り香が特別に強く...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...彼は車に揺られながらまだ移り香がかすかに残っている右のてのひらの匂いを嗅(か)いだ...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...まだ僅(わず)かに残る鹿の子の移り香を求めるように...
野村胡堂 「十字架観音」
...晝近い陽の中に處女の移り香がほんのり漂(たゞ)よつて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「あの娘の移り香を嗅がせようといふのか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ちまたに散らばへる秋の光をいかにせむたそがれどきのさしぐめる我が愁をばいかにせむ捨身に思ふ我が身こそびいどろ造りと成りてましうすき女の移り香も今朝の野分に吹き散りて水は涼しく流れたり薄荷(はつか)に似たるうす涙...
萩原朔太郎 「秋日行語」
...豆腐にもうどんにもゴモクの移り香などは...
羽田亨 「聚樂廻り」
...何時の世にか私の著た紫の袖の移り香のことである...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...この間と同じトルコ煙草(たばこ)の移り香がしていますもの...
松本泰 「宝石の序曲」
...移り香がしているような気がする...
矢崎嵯峨の舎 「初恋」
...なやましい移り香を感じる...
吉川英治 「親鸞」
...ほのかな伽羅(きゃら)の移り香がする...
吉川英治 「宮本武蔵」
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