...殊に狭苦しい埠頭(ふとう)のあたりは新しい赤煉瓦(あかれんが)の西洋家屋や葉柳(はやなぎ)なども見えるだけに殆(ほとん)ど飯田河岸(いいだがし)と変らなかった...
芥川龍之介 「湖南の扇」
...しかし狭苦しい東京湾も当時の保吉には驚異だった...
芥川龍之介 「少年」
...狭苦しい路を歩いていた...
芥川龍之介 「尼提」
...狭苦しい店を忘れることは出来ぬ...
芥川龍之介 「僻見」
...狭苦しい往来を歩いて行った...
芥川龍之介 「本所両国」
...しばらくすると帳場の次の狭苦しい部屋で物の莫迦叮寧(ばかていねい)な母親と...
徳田秋声 「足迹」
...狭苦しい座敷に点(とも)され...
徳田秋声 「新世帯」
...狭苦しい銀子の家(うち)も...
徳田秋声 「縮図」
...そして狭苦しい都会の中にあっても...
豊島与志雄 「秋の気魄」
...狭苦しい鉄の檻の中を...
豊島与志雄 「悪夢」
...二十四周平は狭苦しい下宿の四疊半に身を投げ出し...
豊島与志雄 「反抗」
...六十年前Louis(ルイ)-Philippe(フィリップ)王政時代の巴里の市民が狭苦しい都会の城壁を越えて郊外の森陰を散歩し青草(あおぐさ)の上で食事をする態(さま)をば滑稽なる誇張の筆致を以てその小説中に描いたのである...
永井荷風 「夏の町」
...この狭苦しい舟の中へさえも...
中里介山 「大菩薩峠」
...この狭苦しい場所で...
原民喜 「夏の花」
...藍染川の溝縁から狭苦しい路地内へと鍵の手に建つた...
正岡容 「根津遊草」
...もっとも少々狭苦しいような...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「小フリイデマン氏」
...そうでなくとも狭苦しい経験の中から...
柳田国男 「雪国の春」
...チタ子はひどく憂鬱そうな顔をして狭苦しい椅子に埋(うずも)れていましたが...
吉行エイスケ 「大阪万華鏡」
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