...船が片一方に倒れたと思うと...
リチャード・オースティン・フリーマン Richard Austin Freeman 妹尾韶夫訳 「歌う白骨」
...足袋の片一方さえ無い仕末でした...
太宰治 「おしゃれ童子」
...私が帰って来たことも! ただ白眼勝ちな片一方の眼が...
橘外男 「仁王門」
...そして片一方の腕をだらりと卓子(テーブル)に垂れ...
モーリス・ルヴェル Maurice Level 田中早苗訳 「麻酔剤」
...ずぽッと脚を抜いた途端に片一方の靴が脱げた...
谷崎潤一郎 「細雪」
...貞之助はさっきもそう云う泥沼に篏(は)まり込んで片一方の靴(くつ)を取られてしまっていたので...
谷崎潤一郎 「細雪」
...村はづれの岡(をか)のふもとの、八幡(まん)様のわきの池で、片がはは木がこんもりとしげり、もう片一方は、草の生えた土手です...
豊島与志雄 「ふしぎな池」
...片袖ではない――下駄が片一方...
中里介山 「大菩薩峠」
...わたしの下駄を片一方持って行ってしまって……」これは笑いごとではない...
中里介山 「大菩薩峠」
...「ホントにばかばかしいったらありゃしない、金公の野郎、覚えていやがれ」余憤容易に去らず、これは昨晩、金助が両国橋まで一目散(いちもくさん)に逃げて、さてその下駄を突っかけようとして見ると、片一方だから、やむを得ず、そこへ並べて置捨てにしていったものに相違ない...
中里介山 「大菩薩峠」
...今日も出歩きの道中を少々物語ってから、お宮さんのお酌(しゃく)で一ぱいを傾けながら、不破の関守氏が、「お宮さん、ここの風呂場の若衆(わかいしゅ)は、ちょっと乙な男だね」「三蔵はんどすか」「三蔵というのかね、名前はまだ知らないが、なかなか如才なくて、第一腕が器用だ」「三蔵はん、このごろおいでやはったが、取廻しがよろしいので、なかなか評判ようおます、腕が器用とおっしゃいますが、あんた、あの片一方でな、米搗(こめつ)きから、風呂焚き、流し、剃刀使いまで細(こま)やかになさりますから、みんな感心しておりますのや」「ははあ、器用な男もあったもんだ、ありゃあれで、なかなか苦労人だよ」「はい、それに、なかなか気前がようおまして……」「だから、女に相当騒がれるだろう、あぶないものだぜ、お宮さん」冗談半分に、女中を相手に関守氏が聞き得たところによると、右の手なしの番公は、最近ここへ雇われて来た男ではあるが、早くも女中たちの人気を取っているらしい...
中里介山 「大菩薩峠」
...片一方の主観的の方と比較するときに大変な好都合になるのであります...
夏目漱石 「創作家の態度」
...すると、金五郎が、照れくさそうな顔で、片一方は、百合にしたがええ、といいだしたのである...
火野葦平 「花と龍」
...ただ、片一方にゃあ、黄金(かね)や、宝物が山程あって、片一方じゃ、あすの朝の、一握りの塩噌(えんそ)にも困っている...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...片一方の役者の方は...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...或る者は永く片一方の手だけしかはたらけなかった...
室生犀星 「花桐」
...馬の荷物の片一方が軽いので...
柳田國男 「日本の伝説」
...片一方ずつ上へあがる...
ルナアル Jules Renard 岸田国士訳 「にんじん」
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