...広漠とした太古の天地に...
芥川龍之介 「老いたる素戔嗚尊」
...最も漠とした、うたがわしい言い伝えによると、ここにかつて宿屋が立っていたそうである...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...その頃の漠とした幸福感を近々と思ひ出させた...
田畑修一郎 「医師高間房一氏」
...彼は云い知れない漠とした苦悩と哀愁とを感じた……...
豊島与志雄 「意欲の窒息」
...茫漠とした安心の色を少し加えて...
中里介山 「大菩薩峠」
...漠とした不安の中にありながら...
中島敦 「狼疾記」
...これは……僕はふと空漠としたものに戸惑つてゐる...
原民喜 「鎮魂歌」
...何か無気味で割りきれない漠としたものが...
原民喜 「ヒロシマの声」
...その男の漠とした存在は...
堀辰雄 「美しい村」
...この広漠とした原野に積っていた雪が一ぺんに水になった...
本庄陸男 「石狩川」
...そんなことは大変茫漠とした謎のやうな気がして...
牧野信一 「渚」
...あとは一瞬時前と同様茫漠とした白い幻がフワフワと漂ふてゐるばかりで...
牧野信一 「妄想患者」
...移転をしてから十五日目――ああ何と云う空漠とした...
松永延造 「職工と微笑」
...彼等すべてがおれの性行に対して示す漠とした尊敬――みんなは不確かながら...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「道化者」
...そして自分の広漠としたはなればなれになった胴とか手とか足とかの...
室生犀星 「われはうたえども やぶれかぶれ」
...茫漠としたある観念に絶えず憑かれた...
横光利一 「旅愁」
...いはば菊池さんは漠とした將帥の器であり...
吉川英治 「折々の記」
...そうしてそういう漠とした杞憂(きゆう)のために...
和辻哲郎 「地異印象記」
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