...津々浦々到る処、同じ漁師の世渡りしながら、南は暖(あたたか)に、北は寒く、一条路(ひとすじみち)にも蔭日向(かげひなた)で、房州も西向(にしむき)の、館山(たてやま)北条とは事かわり、その裏側なる前原、鴨川(かもがわ)、古川、白子(しらこ)、忽戸(ごっと)など、就中(なかんずく)、船幽霊(ふなゆうれい)の千倉が沖、江見和田などの海岸は、風に向いたる白帆の外には一重(ひとえ)の遮るものもない、太平洋の吹通し、人も知ったる荒磯海(ありそうみ)...
泉鏡花 「海異記」
...かしこくも明治大帝の教育に関する大御心はまことに神速に奥州の津々浦々にまで浸透して...
太宰治 「津軽」
...大磯から江の島につづく津々浦々に打寄する波頭は丁度白銀の蛇の蜿れるごとく...
近松秋江 「箱根の山々」
...更にこの切手を貼つた手紙が全國津々浦々に行き渡る時...
土井八枝 「隨筆 藪柑子」
...今は津々浦々にまでその作用を丹念に響き渡らせたものに他ならない...
戸坂潤 「日本イデオロギー論」
...この旨日本六十余州の津々浦々に伝え...
野村胡堂 「大江戸黄金狂」
...――日本国中津々浦々まで響けと...
野村胡堂 「礫心中」
...今や朝(あした)の霞を衝いて津々浦々までも鳴り渡るあの明朗至極なるラヂオ體操を見ても明らかの如く...
牧野信一 「文學的自叙傳」
...今や朝(あした)の霞を衝いて津々浦々までも鳴り渡るあの明朗至極なるラヂオ体操を見ても明らかの如く...
牧野信一 「文学的自叙伝」
...それ丈けにこの荒削りな憤りの声は津々浦々の誰にでもよく合点され...
正岡容 「大正東京錦絵」
...若狭(わかさ)の津々浦々を売り歩いたのである...
森鴎外 「山椒大夫」
...日本の津々浦々には...
柳宗悦 「陸中雑記」
...交通の女王たる鉄道は何(いづ)れの津々浦々にも...
山路愛山 「英雄論」
...宮本武蔵の名は津々浦々に響き渡っていたS=道場の表念流剣道指南...
山中貞雄 「武蔵旅日記」
...そのほか名ある津々浦々を飲んでは酔い...
夢野久作 「あやかしの鼓」
...津々浦々までペコンペコンとやっているが...
夢野久作 「超人鬚野博士」
...第二、第三の宮方の鯨波(げいは)は、津々浦々から、鼓(こ)を鳴らして起って来よう...
吉川英治 「私本太平記」
...九州津々浦々の船を...
吉川英治 「私本太平記」
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