...私は歔欷(むせびな)いている自分の哀れな心の中に痛い傷痕をかんじて...
モオパッサン 秋田滋訳 「ある自殺者の手記」
...――(突然(とつぜん)烈(はげ)しき歔欷(すすりなき))巫女の口を借りたる死靈の物語――盜人(ぬすびと)は妻(つま)を手(て)ごめにすると...
芥川龍之介 「藪の中」
...譯もなく歔欷(すゝりあ)げてゐる新坊を...
石川啄木 「鳥影」
...『怎したけな?』と囁いてみたが返事がなくて一層歔欷(すすりな)く...
石川啄木 「天鵞絨」
...歔欷の声をもらしてゐた...
太宰治 「火の鳥」
...歔欷(すゝりなき)の声が起つた...
徳田秋声 「町の踊り場」
...彼は人の歔欷(きょき)を耳にしたように感じた...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...その歔欷は何処(どこ)からともなくかすかに流れてくるともなく彼自身の胸のなかへ深く泌み込んできた――彼はただ一人淋(さび)れはじめた秋の末の庭先の縁へとりのこされていた...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...ものの十秒とも経たないうちにその啜泣は波打つ歔欷(きょき)と変った...
富ノ沢麟太郎 「あめんちあ」
...かえってその打伏した袖の下から歔欷(すすりなき)の声が...
中里介山 「大菩薩峠」
...「御前様(ごぜんさま)」お君は歔欷(すすりなき)の声で再び主人を呼びました...
中里介山 「大菩薩峠」
...門(もん)の外(そと)にはおつぎが與吉(よきち)を連(つ)れて歔欷(すゝりなき)して居(ゐ)る...
長塚節 「土」
...その父(ちゝ)と子の心と心とが歔欷(きよき)の中にぴつたり抱き合ふ瞬間(しゆんかん)の作者(さくしや)の筆には...
南部修太郎 「三作家に就ての感想」
...親分」慟哭と嗚咽と歔欷(すゝりなき)の中へ...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その虚無的厭世感(えんせいかん)の底で歔欷(きょき)しているところの...
萩原朔太郎 「郷愁の詩人 与謝蕪村」
...鮮純なリズムの歔欷(すすりなき)はそこから来(く)る...
萩原朔太郎 「月に吠える」
...次女は醒めて夢に歔欷す...
萩原朔太郎 「氷島」
...歔欷(すゝりなき)のために其(そ)の聲(こゑ)が出(で)ませんでした...
レウィス、キァロル Lewis Carroll 丸山英觀訳 「愛ちやんの夢物語」
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