...目に懸けたるは柚子(みかん)の皮を刳(く)りぬきて作りし眼鏡なり...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...柚子柚の木の梢高く柚子の実のかかっているのを見るときほど...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...万年青の赤さがあつたしぐるゝや供養されてゐる・土蔵そのそばの柚の実も(福沢先生旧邸)・すゝき一株も植ゑてある( 〃 )座るよりよい石塔を見つけた(宇平居)これが河豚かと食べてゐる(筑紫亭句会)・河豚鍋食べつくして別れた( 〃 )・ならんで尿する空が暗い世渡りが下手くそな菊が咲きだした(闘牛児からの来信に答へて)芙蓉実となつたあなたをおもふ( 〃 )枕許に...
種田山頭火 「行乞記」
...今日の御馳走はどうだ! 酒がある、飯がある、肉がある、大根、ちしや、ほうれんさう、柚子...
種田山頭火 「其中日記」
...椿、珊瑚樹、柚子、八ツ手など皆そうだ...
田山花袋 「新茶のかおり」
......
永井荷風 「自選 荷風百句」
...机の傍に円火鉢引寄せ書を読みながら柚味噌(ゆずみそ)煮る楽しみも十二月である...
永井荷風 「写況雑記」
...独居何事も不便なれば柚湯にも浴せず...
永井荷風 「断腸亭日乗」
...赤い振柚に花簪、帯のだらりも金襴に……と、歌の文句のように、浮世絵の極彩色の美しい姿で松並木のなかほどのところまでやってくると、上手(かみて)から飛脚が飛んで出る...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...柚子の肩を揺って...
久生十蘭 「雲の小径」
...ありがとうございました」柚子は服を着て出て来たが...
久生十蘭 「春雪」
...あれはあれなりに、花の咲かせようもあったろうと思って、ね」「結婚式という儀式だけのことなら、柚子さんも、やっていたかも知れないぜ」「なにを馬鹿な」「すると、君は、なんの感度(かんど)もなかったんだな」「感度って、なんのことだ」「これはたいしたフェア・プレーだ...
久生十蘭 「春雪」
...柚子は平静な顔で...
久生十蘭 「春雪」
...柚子の性質にないことだ...
久生十蘭 「春雪」
...柚子さんは、毎日、汽車で平潟から日立へ通っていたらしいが、ロバート君は、そこからまた新潟の分所へやられ、そこで病気になって、東京へ帰ってきた」終戦の前の年の十月、二人の娘を疎開させなければならないと思いつつ、手がまわりかねていると、柚子は自分で奔走して、友達の郷里の、茨城県の平潟という町へ疎開させることにきめた...
久生十蘭 「春雪」
...柚子は滓(おり)も淀(よど)みも...
久生十蘭 「春雪」
...たとえば版画なんかでも柚木久太が苦力(クーリー)の生活的なのを出しているほか...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...かれはまた柘榴(ざくろ)、柚子(ゆず)、紅梅(こうばい)、……ずいぶん枯れてしまいましたね、柏(かしわ)、杏(あんず)、柿(かき)、いたや、なぞはまるで見ちがえるように、枝にも瘤(こぶ)がついて大した木にふとっていますな、時時、ひょんなしごとをやっていて、ふいにお宅の庭のことを人にもはなしたり自分でもおもい出したりしていましたが、あの時分は木がやすくてすぐに手にはいったが当節では庭を作るということも、家を建てるよりかもっとかかりますね、しかしあの大きい松だけたすかっているのは、全くの拾い物ですね、よかったですな、かれはそういうと百年くらいの松をくるまで搬(はこ)んだ時の苦心と、町家の間を引いて来るのに困ったと言った...
室生犀星 「生涯の垣根」
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