...私は私の柄にもない不遜(ふそん)な老婆親切をもうやめねばならぬ...
有島武郎 「惜みなく愛は奪う」
...ようこそ中途半端で柄にもない飛び上がり方をしないで済んだと思う...
有島武郎 「片信」
...柄にもない船頭が買ったんですが...
泉鏡花 「浮舟」
...私の方は柄にもない警戒心からであつたが...
高田保 「貸家を探す話」
...殊に少しく実の入った精神的な仕事をしようなどと柄にもない心掛けを起こしたら...
辻潤 「書斎」
...またそんな事は柄にもない事だ...
戸川秋骨 「道學先生の旅」
...柄にもない、お嬢さんなんかと、くっついて」富士春は、益満の眼へ、笑いかけつつ、茶をついだ...
直木三十五 「南国太平記」
...わたしはむしろそれをいい事にして毎晩こうして遊んでいるんですが……まアそんな事はどうでもいいとして……わたしが芸者に芸を仕込んで見ようなぞと柄にもない事を思い付いたのはいささか訳(わけ)があります...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...それらの事が直接の原因という訳ではありませんが小半に薗八の稽古をさせている中(うち)わたしはいつかこの女を自分の思うような芸人に仕立てて見たらばと柄にもない気を起すようになったのです...
永井荷風 「雨瀟瀟」
...こんな柄にもない...
中村清太郎 「ある偃松の独白」
...近頃つくづく考えたんだが――」ガラッ八の八五郎は柄にもない感慨無量な声を出すのでした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...あっしは下手人は内の者だと思うが――」ガラッ八は柄にもない抗議を持出しました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...善人らしく立廻つて柄にもない僞善的なことをするより...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...ほかの民族を統治しようなどと柄にもないことをかんがえることもなく...
久生十蘭 「だいこん」
...柄にもない母の夢から...
牧野信一 「剥製」
...柄にもない部署につかされ...
宮本百合子 「一連の非プロレタリア的作品」
...柄にもない優しいことばを(ささや)いていた...
吉川英治 「私本太平記」
...わけて筆をとれば柄にもない美しい文字を書くし...
吉川英治 「私本太平記」
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武士は食わねど高楊枝 別れ路 一事件
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