...警破(すは)やと思ふ束の間に...
石川啄木 「漂泊」
...而してその束の間に一の世界を創作して...
レミ・ドゥ・グルモン Remy de Gourmont 上田敏訳 「落葉」
...生きていると気がついて悦んだのも束の間...
海野十三 「火葬国風景」
...照ちやんが角かくしをした姿を見ぬのを殘念だと思つたのも束の間であつた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...ついこの間まで玩具(おもちゃ)のような矮小(わいしょう)な家に住んでいた亡命露西亜(ロシア)人の娘が、忽(たちま)ち英国に渡って大会社の社長殿の夫人に出世し、お城のような邸宅で人も羨(うらや)む栄華な暮しをするようになったかと思えば、それも束の間で、今や英国民全体の上に未曾有(みぞう)の惨事(さんじ)が降りかかろうとしているのである...
谷崎潤一郎 「細雪」
...束の間の少年の夢...
徳永保之助 「洪水のように」
...束の間でも住みよくせねばならぬ...
夏目漱石 「草枕」
...部屋の空気が薄紫に淀んだと思ったのも束の間で...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...女の出世の行止りのやうに思つたのも束の間で...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...花束の間からあたしたちのほうを見ていた...
久生十蘭 「だいこん」
...束の間も我を離れてあり得じと秋は侮る君の心も「君の心も」は「君の心をも我が心をも」の略であらう...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...それは束の間だった...
平林初之輔 「二人の盲人」
...尤も形の徐々(そろそろ)壊出(くずれだ)した死骸を六歩と離れぬ所で新鮮の空気の沙汰も可笑(おか)しいかも知れぬが――束の間で...
ガールシン 二葉亭四迷訳 「四日間」
...下降の客が乗り切るまでのほんの束の間...
牧野信一 「日本橋」
...」それも束の間、三人の歩みは停車場の光りに向つて、何といふ早さであらう...
牧野信一 「〔編輯余話〕」
...「ヤレ安心」と思ったのは束の間...
槇村浩 「私は紙である」
...注射も今は只束の間の命を延ばして行くはかない仕事になって息は益々苦しく小さい眼はすべての望を失った色に輝いて来た...
宮本百合子 「悲しめる心」
...柴のように見えるその椅子の束の間から千鶴子が黒い服で近よって来た...
横光利一 「旅愁」
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