...僕は手紙の束の間(あいだ)をかき分けてあなたの手跡を見いだそうとつとめました...
有島武郎 「或る女」
...生きていると気がついて悦んだのも束の間...
海野十三 「火葬国風景」
...ついこの間まで玩具(おもちゃ)のような矮小(わいしょう)な家に住んでいた亡命露西亜(ロシア)人の娘が、忽(たちま)ち英国に渡って大会社の社長殿の夫人に出世し、お城のような邸宅で人も羨(うらや)む栄華な暮しをするようになったかと思えば、それも束の間で、今や英国民全体の上に未曾有(みぞう)の惨事(さんじ)が降りかかろうとしているのである...
谷崎潤一郎 「細雪」
...ただ束の間も恢復の 110機會はあらず...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...束の間の少年の夢...
徳永保之助 「洪水のように」
...彼は小泉の家を出て、初夏の陽光のなかに自分を見出した時、珍らしく散歩の心をそそられたが、それも束の間で、漠然とした期待と気忙しさとのために、まっすぐ自宅へ戻っていった...
豊島与志雄 「立枯れ」
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長塚節 「長塚節歌集 中」
...部屋の空気が薄紫に淀んだと思ったのも束の間で...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...晴れ間に姿を現はしてゐる間はまことに束の間で...
林芙美子 「摩周湖紀行」
...たとえば私はこんな気持だ 束の間の睡りから目ざめて 睡る前となにか違っていることにおののく幼な子の瞳...
原民喜 「遥かな旅」
...束の間の印象を辿りかえすと...
久生十蘭 「我が家の楽園」
...束の間もその穿鑿ずきな心に落ちつきの得られなかつたチェレークが...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...ただ時をり犬の遠吠えが束の間だけ沈黙(しじま)を破るのみで...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
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三好達治 「池のほとりに柿の木あり」
...奈良原到はコッソリと起上って誰にも告げずに山のように積んである薪の束の間に...
夢野久作 「近世快人伝」
...柴のように見えるその椅子の束の間から千鶴子が黒い服で近よって来た...
横光利一 「旅愁」
...約束の間の山へつき...
吉川英治 「雲霧閻魔帳」
...とは束の間も彼女の胸に斷えたことのない祈願であつた...
若山牧水 「姉妹」
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