...束の間に過ぎなかった...
梅崎春生 「幻化」
...しかし此の度の逃亡もひょっとすると自分の束の間の感傷から出たのかも知れない...
梅崎春生 「日の果て」
...照ちやんが角かくしをした姿を見ぬのを殘念だと思つたのも束の間であつた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...ただ束の間も恢復の 110機會はあらず...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...槍を揮ひて猛然と追ひうつ彼は束の間も...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...彼は小泉の家を出て、初夏の陽光のなかに自分を見出した時、珍らしく散歩の心をそそられたが、それも束の間で、漠然とした期待と気忙しさとのために、まっすぐ自宅へ戻っていった...
豊島与志雄 「立枯れ」
...花束の間からあたしたちのほうを見ていた...
久生十蘭 「だいこん」
...湖の舟の動きし束の間に我唯今を忘れけるかな野尻湖でよまれた歌であるが...
平野萬里 「晶子鑑賞」
...それは束の間だった...
平林初之輔 「二人の盲人」
...文字通り束の間で...
古川緑波 「古川ロッパ昭和日記」
...不幸を頭の中で作り出す(これが何よりも悪いのだ!)僕等は束の間の幻を築いてゐるのさ...
北條民雄 「一九三六年回顧」
...もっと束の間のもの...
堀辰雄 「風立ちぬ」
...それで辛うじて松の木の上ぐらゐまで上つたかとおもふのも束の間で...
牧野信一 「山峡の凧」
...束の間のエア・ポケツト見たいな白々しい間隙が生じてゐるものだ――などと思ふと私は不図...
牧野信一 「日本橋」
...外套だけ被って足を伸ばし臥(ね)ては束の間も眠られぬと...
南方熊楠 「十二支考」
...暑い暑い言うたのも束の間にてもはや秋風たちはじめ...
矢田津世子 「旅役者の妻より」
...奈良原到はコッソリと起上って誰にも告げずに山のように積んである薪の束の間に...
夢野久作 「近世快人伝」
...腕を差し上げて、女はやや躊躇(ちゅうちょ)の色が見えたが、それも束の間、キリキリッと歯噛みをすると一緒に振り上げた刃がキラリッと光った...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
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