...彼女の迷いはこの珍らしくもない句によって不思議に晴れて行った...
有島武郎 「クララの出家」
...北空が晴れて、丸岩、熊鷹、氷室の連山が額に近々と迫って見える日など、あの山奥が敵の巣窟だと睨みつつ枯田の吹きさらしの中に佇むこともあった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...笠井さんも、気持が晴れて、部屋の入口に立ったまま、のんびり煙草をふかした...
太宰治 「八十八夜」
...涼しすぎるその色のうごく出来秋のなかで独りごというてゐる男秋らしい村へ虚無僧が女の子を連れて・秋日和のふたりづれは仲のよいおぢいさんおばあさん・晴れて雲なく釣瓶縄やつととゞく・声はなつめをもいでゐる日曜の晴れ九月十日秋ぢや...
種田山頭火 「行乞記」
...雨も春とほく白波が見えて松のまがりやう裸木に一句作らしたといふ猿がしよんぼりぬくい雨となる砂の足あとどうやら晴れてる花ぐもりの水平線・春の海のどこからともなく漕いでくるこれから旅も...
種田山頭火 「旅日記」
...でも空は綺麗に晴れて星がきらきらと輝いていた...
豊島与志雄 「球突場の一隅」
...空はすつかり晴れて...
豊島与志雄 「北極のアムンセン」
...梅雨(つゆ)は漸く晴れて...
夏目漱石 「それから」
......
野口雨情 「未刊童謡」
...よく晴れて眞つ闇な晩に...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...晴れてはいるが青くは見えないのである...
本庄陸男 「石狩川」
...いままで抱いていた疑念もひとりでに晴れてしまった...
三上於兎吉 「艶容万年若衆」
...」丁度その時、霧が晴れて、お日様の光がきん色に射(さ)し、青ぞらがいっぱいにあらわれましたので、稜のある石どもは、みんな雨のお酒のことや、雪の団子のことを考えはじめました...
宮沢賢治 「気のいい火山弾」
...その日、朝は、どしゃ降りなのであったが、午後になると、からりと晴れて、縁側に陽がさした...
山之口貘 「雨あがり」
...少し風はあるが、よく晴れていて、空気は陽に温められた枯草の香ばしい匂いがした...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...晴れてよいご身分になるはずです...
吉川英治 「私本太平記」
...然し眞上の空は青みこそ無けれいかにも明るく晴れてゐるので...
若山牧水 「樹木とその葉」
...而かも其処を離れて裾野を汽車が走せ下ると次第に晴れて遥かの西空は真赤な夕焼...
若山牧水 「みなかみ紀行」
便利!手書き漢字入力検索