...日の暮れるのが待遠でもあり...
石川啄木 「赤痢」
...ひたすらその日の暮れるのを待った...
谷崎潤一郎 「武州公秘話」
...明けないうちから藁うつくらしの音がはじまつた・ゆふべはあんまりしづかなたわわな柿・大風ふいていつた蟻はせつせとはたらく・お地蔵さまへ生えて鶏頭の咲いてゐる・秋の日の暮れいそぐ蒲焼のにほひなど・いつからともなく近眼に老眼が...
種田山頭火 「其中日記」
...橋の影も日の暮れかかるころには朦朧(もうろう)とした水蒸気に包まれてしまうので...
永井荷風 「放水路」
...余は此は病身な娘で仕事でも何でも只氣任せにして置くのだらうと思ふとひどく哀れになつて時々娘を見るといつもぢつとして日の暮れるまで動かぬのであつた...
長塚節 「旅の日記」
...夕の空日の暮れ方に空見ればいつもはかないことばかりすすきをばなは穂に咲けど秋の花ゆゑさびしかろ恋は捨てても空見れば思ひ出されてさびしかろ...
野口雨情 「別後」
...日の暮れる頃はもう高鼾(たかいびき)でした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...それよりは日の暮れる前に金蔵の方の目鼻をつけることだ」「三輪の親分が...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...日の暮れるのは早い...
火野葦平 「花と龍」
...日の暮れを待たずに行くこともあつた...
平出修 「二黒の巳」
...が、もう小説を考えるような気分にもなれず、日の暮れるまで、ぼんやりと斑鳩(いかるが)の里をぶらついていた...
堀辰雄 「大和路・信濃路」
...一昨日の暮れ方、乗物町(のりものちょう)の師匠として聞えている笛の名人豊住又七(とよずみまたしち)が、用達しの帰り、自宅の近くまで差しかかった時、手拭いで顔を包んだ屈強な男が一人矢庭(やにわ)に陰から飛び出して来て、物をもいわずに又七を、それも、まるで猫の児かなんぞのように溝の中へ投げつけるが早いか、何処ともなく風のように消えてしまったというのである...
牧逸馬 「助五郎余罪」
...水曜日はやがて日の暮れに近かった...
松本泰 「P丘の殺人事件」
...日の暮れるまでとどまっていた...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...日の暮れるまで待っていたという...
吉川英治 「三国志」
...そして翌五月二十四日の暮れがたには...
吉川英治 「私本太平記」
...やむなく尋有は日の暮れるのを待って...
吉川英治 「親鸞」
...日の暮れない中に故郷へ帰ろうと思うからだった...
若杉鳥子 「旧師の家」
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