...奇々妙々を極めた嶺岑(みね)をいくつとなく擁するその山姿は...
モオパッサン 秋田滋訳 「初雪」
...ヰッテンベルグ・プラッツの辺で吾々を擁する夜鷹の群と――ブラインドをおろした密室で裸踊りのはてに行はれるといふ現代欧羅巴の好色と――何といふ甚しい懸絶であらう...
阿部次郎 「帰来」
...六萬の人口を抱擁する都會で...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...その時の私の心持は『罪と罰』を措いて直ちにドストエフスキーの偉大なる霊と相抱擁するような感に充(み)たされた...
内田魯庵 「二葉亭余談」
...今日の貧書生が他日王侯の富を擁することもわけはないのである...
大隈重信 「青年の天下」
...かくも愛してると君を抱擁する...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...全人類を抱擁する...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...同時に徳川家を擁する土佐の勢力というものが...
中里介山 「大菩薩峠」
...火葬場の灰になった私を花婿として抱擁するだろうか?...
平林初之輔 「私はかうして死んだ!」
...」「村瀬さんがはぢめて恋人を抱擁する有様は定めし戦慄すべき絶景だらうな...
牧野信一 「女に臆病な男」
...権威を擁する藤田定資は極めて卑劣であり...
三上義夫 「和算の社会的・芸術的特性について」
...皆んなに一度づゝ抱擁する...
三岸好太郎 「上海の絵本」
...人格的価値抜きに対手を抱擁する事は愧ずべき事だ...
宮本百合子 「黄銅時代の為」
...秀頼を擁する人々が事をおこすにはうってつけの機会である...
山本周五郎 「日本婦道記」
...彼の擁する東国の私田の事務でも勤めたがっていた男だからであった...
吉川英治 「平の将門」
...そして母をもう一度抱擁すると私の方に向きました...
J. S. レ・ファニュ J.S.Le Fanu The Creative CAT 訳 「ドラムガニョールの白い猫」
...巨富を擁する商人が赤貧の武士に対して富貴なる者に対すると同じように尊敬の態度を取るということは全く珍らしい...
和辻哲郎 「鎖国」
...一切を抱擁する大乗教のうちから...
和辻哲郎 「日本精神史研究」
便利!手書き漢字入力検索