...今晩は少のうございますね」手洗いの湯をすすめに来た母はほとんど手柄顔(てがらがお)にこう云った...
芥川龍之介 「子供の病気」
...皆んなから手柄顔に名指されるだろう...
有島武郎 「卑怯者」
...あるいは三角や四角の恋愛を臆面もなく手柄顔(てがらがお)に告白するのを少しも怪(あやし)まない今から考えると...
内田魯庵 「美妙斎美妙」
...」と手柄顔(てがらがお)をした...
内田魯庵 「二葉亭余談」
...山本の側に寄って手柄顔に報告した...
江戸川乱歩 「五階の窓」
...さうして三浦左衛門尉さまの手柄顔なる密告に接しても...
太宰治 「右大臣実朝」
...将軍家に手柄顔して御密告なさつてもかまひません...
太宰治 「右大臣実朝」
...その原因は、首領間のあるいは職業団体間の不断の不一致、改革派と革命派との間の不断の不一致、――威勢のよい大言壮語のもとにある深い臆病(おくびょう)心、――正規の降伏勧告に会えばただちにそれらの反抗者らを軛(くびき)の下に立ちもどらせる、従順な遺伝性、――他人の反抗を利用して、主人のもとに駆けつけ、手柄顔をなし、利益本位の忠義だてを高価に売りつけんとする者どもの、卑怯な利己主義と下劣さ、などであった...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...これはどうもなかなかのご明察」顎十郎はかくべつ手柄顔もせず...
久生十蘭 「顎十郎捕物帳」
...手柄顔で報告してもよいのに...
火野葦平 「花と龍」
...然し私がここで仏蘭西人の事などを手柄顔に持出すと...
松本泰 「日蔭の街」
...番頭はしきりに手柄顔に言う...
水野葉舟 「帰途」
...じいやは手柄顔をして帰って来た...
水上滝太郎 「九月一日」
...如何にも手柄顔に火刑柱(ひあぶりばしら)の三人の苦悶を...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...生きながら魂を引き抜かれて行くのを正視する……その生きた死骸を自分の手にかけて検査する……そうしてその結果を手柄顔に公表する……という決心がドレ位つき難(にく)い事を思い知ったか...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...さも手柄顔に生擒(いけど)って来た味方の将士も...
吉川英治 「剣の四君子」
...子分たちの屯(たむろ)している中へ来て手柄顔に...
吉川英治 「三国志」
...そして兄はその濡れた羽織の蔭からさも手柄顔に大きな壜を取出して私に渡した...
若山牧水 「みなかみ紀行」
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