...何も其日暮しの心配をするには当らぬと云ふ意味の事を懇々と説き聞かされた...
石川啄木 「菊池君」
...既に女の夜遊びを懇々戒(いまし)めて置いた言葉を破つたのを憤り切つてゐたので...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...僕の主義は僕が社會に懇々(こん/\)主張したくらゐで...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...懇々私にお話しがあったのですが...
上村松園 「虹と感興」
...父の死ぬ時には懇々私の輔佐(ほさ)を頼まれ老いてもなお矍鑠(かくしゃく)として銀行の業務一切を取り仕切っているこの老人に向っては...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...あとで詫びに来たら懇々と説諭してやるつもりでいたところ...
豊島与志雄 「三つの悲憤」
...懇々と説諭しなければならぬ役まわりになりました...
中里介山 「大菩薩峠」
...食事を終り、別室に至り、懇々切々、今日欧洲流行の非なるを教示せられ、竟(つい)に日本の形勢不得止して、国会を開くに至らば、能く注意し、国法を定め、而して仮令如何様の事あるも、国費を微収するには、国会の許諾を不得(えざれ)ば、不出来様の、不策に出る勿れ、若し其権を、国会に譲れば、内乱の基と知るべしとの事なり...
蜷川新 「天皇」
...出向いて懇々と頼み込むと...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...恥を打ち明けて懇々と頼み込むと...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...御来診のお礼には、もう、資産の許すだけのことは必ずいたしますから……」「いや、手前はけっして、」と医者は、高くもなければ低くもない、が、懇々とした、非常に粘りづよい声で言った...
ニコライ・ゴーゴリ 平井肇訳 「鼻」
...余輩の懇々(こんこん)企望(きぼう)するところなり...
福沢諭吉 「旧藩情」
...自らほうぼうの席亭へ出向いていって、菓子折など差し出し、懇々と頼んだが、「ハイハイ分りました、恐れ入ります」とか、「ハイハイいずれそのうち時期を見まして」とか、みんながみんな判で押したように煮え切らない返事をするばかりだった...
正岡容 「小説 圓朝」
...館主自ら車を飛ばして桂舟を訪ひ頭を下げ辞を卑(ひく)うし再三繰返して懇々に頼み居たる事あり...
正岡子規 「墨汁一滴」
...何やら懇々(こんこん)と一刻あまり説きさとした...
吉川英治 「剣難女難」
...九真偽(しんぎ)のほどは分らないが、生兵法(なまびょうほう)の秀忠が、夜ごと、城外へ出て、黒衣覆面し、無辜(むこ)の往来人を辻斬して、ひそかに楽しむというのを聞き、忠明が、わざと彼の徘徊(はいかい)する濠端に夜行し、その斬って出(いず)るや、児戯(じぎ)をあしらう如く脚下にねじ伏せ、懇々、これを懲(こら)して放したというような話すら遺(のこ)っているほどである...
吉川英治 「剣の四君子」
...懇々と、長談議である...
吉川英治 「松のや露八」
...懇々と諭(さと)した...
吉川英治 「柳生月影抄」
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