...陳者(のぶれば)、今年三月七日、当村百姓与作後家篠(しの)と申す者、私宅(わたくしたく)へ参り、同人娘里(さと)(当年九歳)大病に付き、検脈致し呉れ候様、懇々頼入り候...
芥川龍之介 「尾形了斎覚え書」
...何も其日暮しの心配をするには当らぬと云ふ意味の事を懇々と説き聞かされた...
石川啄木 「菊池君」
...既に女の夜遊びを懇々戒(いまし)めて置いた言葉を破つたのを憤り切つてゐたので...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...僕の主義は僕が社會に懇々(こん/\)主張したくらゐで...
岩野泡鳴 「泡鳴五部作」
...心から悔悛めれば罪は奇麗に拭(ぬぐ)い去られると懇々説諭して...
内田魯庵 「三十年前の島田沼南」
...懇々と御注意しておいたんですがね』と...
海野十三 「心靈研究會の怪」
...父の死ぬ時には懇々私の輔佐(ほさ)を頼まれ老いてもなお矍鑠(かくしゃく)として銀行の業務一切を取り仕切っているこの老人に向っては...
橘外男 「陰獣トリステサ」
...父親は懇々として説いた...
田山花袋 「蒲団」
...支那の不心得を懇々と説いたと新聞は報道している...
戸坂潤 「世界の一環としての日本」
...ゴマかしはいけねえ」道庵は懇々(こんこん)と説きさとすようなことを言って...
中里介山 「大菩薩峠」
...家々の子弟や召使を懇々(こんこん)と教え導き...
中里介山 「大菩薩峠」
...旦那様からも懇々のお頼みで」下男は縁側に手を突いて...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...この時は懇々と「道理」を説き聴かされた...
牧野信一 「籔のほとり」
...自らほうぼうの席亭へ出向いていって、菓子折など差し出し、懇々と頼んだが、「ハイハイ分りました、恐れ入ります」とか、「ハイハイいずれそのうち時期を見まして」とか、みんながみんな判で押したように煮え切らない返事をするばかりだった...
正岡容 「小説 圓朝」
...あとで懇々と説いて聞かしたことでしたが...
森下雨村 「五階の窓」
...お父上から懇々(こんこん)申しつけられたとおりを守って上杉家の出来事...
吉川英治 「上杉謙信」
...長藩の若い将校は、懇々と、なおも何か厳命して、金子(きんす)三両を駕屋に預けた...
吉川英治 「松のや露八」
...渋沢様にも、懇々、お願いしてありますから、私の帰朝をまたず、そのうちによいご運がひらかれましょう...
吉川英治 「松のや露八」
便利!手書き漢字入力検索
この漢字は何でしょう??