...主人は店員をガッチリ抑えて行くためには、思い遣り深く、心から感謝させて働いて貰う行き方と畏怖せしめて働かせる行き方とある...
相馬愛蔵 「私の小売商道」
...その弟子や子分の思い遣りのない我儘(わがまま)な仕打に腹を立てて一々それに愛想をつかしていた日には一人は愚か半人の弟子もその膝下(しっか)に引きつけておくことは出来ないのである...
高浜虚子 「子規居士と余」
...人間に思い遣りの心があれば天下は泰平で...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...すなわちその思い遣りの心を私は何んで養い得たか...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...この思い遣りの心...
牧野富太郎 「牧野富太郎自叙伝」
...死だ後の今となっては、この苦しみも、悲しみも、思い遣りも、何の力ない空な事になってしまうではないか...
松崎天民 「友人一家の死」
...まして彼(あ)の半病人の様なお関に養われて居なければならないと云う事はどれ程子に思い遣りを起させたか知れない...
宮本百合子 「お久美さんと其の周囲」
...ここにいるぞと未来を思い遣り顔に自ら悩み...
Johann Wolfgang von Goethe 森鴎外訳 「ファウスト」
...思い遣りの深い気持だった...
山本周五郎 「新潮記」
...人間のもっている思い遣りとか...
山本周五郎 「留さんとその女」
...思い遣りのふかいやさしい気性で...
山本周五郎 「日本婦道記」
...「……もうようございます、それでわかりました、あなたのそのごようすでよくわかります、こんなことが年頃のあなたにお答えできるものではない、それでたくさんですよあきつさん」「でもわたくしお話し申さなくてはならないと存じます、そして赦すと仰しゃって頂かなくては……」「赦すですって」より女はひたとこちらをみつめながら頬笑んだ、「……赦すどころですか、わたしはあなたに礼が云いたいくらいです、あのように世間では評判の悪い子でも、わたしにとっては身をいためた唯(たっ)た一人の子です、親の慾目かも知れませんが、あれも決して心からあんな性質ではありません、わたしに仕えて呉れるだけでも、思い遣りの深い、細かいところによく気のつく子です、ただ負け嫌いなために、そういうところを人に知られるのが厭(いや)で、わざと荒あらしくふるまったり粗暴をまねたりするのではないか、わたしはそう察しています、そしてそういう無理な癖を直すには、早くよい嫁を娶(めと)ることだと考えていました」吉村の母はそこまで云うと、なにか感慨がこみあげてきたかのように口を閉じ、暫らく自分の膝のあたりを見まもっていた...
山本周五郎 「日本婦道記」
...お母上もあの子は思い遣りの深い...
山本周五郎 「日本婦道記」
...思い遣りというものがないんだ」「はい...
山本周五郎 「風流太平記」
...彼が万三郎の温たかい思い遣りに対して...
山本周五郎 「風流太平記」
...「あたしは親切で思い遣りのある...
山本周五郎 「樅ノ木は残った」
...あたしたちこそ思い遣りがなかったんだわね」「おもとさんと絹さん...
山本周五郎 「柳橋物語」
...おいらには、ふしぎでならないよ」ふいに城太郎はこういって、彼女の褪(あ)せた唇を、思い遣りなく、牛の前から振り仰いだ...
吉川英治 「宮本武蔵」
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