...二十面相は黄金塔をぬすみだすために、あらかじめ、ここの床下へぬけ穴を掘っておいて、支配人に化けて、さも忠義顔に、あなたにほんものの塔を、この床下へうずめることをすすめたのです...
江戸川乱歩 「少年探偵団」
...もう忠義顔をしてよそのひとに吠えたててみせているのだ...
太宰治 「彼は昔の彼ならず」
...たかだか日に一度や二度の残飯の投与にあずからんがために、友を売り、妻を離別し、おのれの身ひとつ、家の軒下に横たえ、忠義顔して、かつての友に吠え、兄弟、父母をも、けろりと忘却し、ただひたすらに飼主の顔色を伺い、阿諛(あゆ)追従(ついしょう)てんとして恥じず、ぶたれても、きゃんといい尻尾(しっぽ)まいて閉口してみせて、家人を笑わせ、その精神の卑劣、醜怪、犬畜生とはよくもいった...
太宰治 「畜犬談」
...忠義顔をして五つの咎(とが)を十ほどにも吹聴(ふいちょう)なされ...
谷崎潤一郎 「聞書抄」
...忠君忠義――忠義顔する者は夥(おびただ)しいが...
徳冨蘆花 「謀叛論(草稿)」
...平生忠義顔をしていた九十五人は影をかくしてしまう...
和辻哲郎 「埋もれた日本」
便利!手書き漢字入力検索