...よし、わしが言うよりも、ロロ新王にねがって、王城の天文台へのぼらせてもらって、地球がどうなったか、それを見せてあげよう」博士は、心得顔で、すぐさま、ロロ新王に、そのことを言った...
海野十三 「火星兵団」
...奥の方にいい席がございます」ボーイ頭が心得顔に先に立って案内した...
海野十三 「地球発狂事件」
...俥夫が心得顔に芝口の方へ帰途をとろうとするのを叱って反対の方角へと走らせた...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...わたしはこの問題について心得顔で物をいう...
ソーロー Henry David Thoreau 神吉三郎訳 「森の生活――ウォールデン――」
...地べたにすわっていた親猿が心得顔に手を出して...
寺田寅彦 「あひると猿」
...心得顔に並べるのがうるさく...
中里介山 「大菩薩峠」
...おいで」心得顔にムク犬を促し立てて...
中里介山 「大菩薩峠」
...これびた公、何か珍しいものを御馳走しろ、どのみち、毛唐(けとう)の食うものだから、人間並みのものを食わせろとは言わねえ、悪食(あくじき)を持って来て、うんと食わせろ」と神尾は、これから持運ばれようとする食物の催促を試みると、金助改め鐚助が、心得顔に、「殿様、とりあえず牛(ぎゅう)を召上れ、まず当節は牛に限りますな、ことに築地の異人館ホテルの牛の味と来ては、見ても聞いてもこたえられねえ高味(こうみ)でげす」「ギュウというのは牛のことか」「左様でげす――」「一橋の中納言は豚を食って豚一と綽名(あだな)をつけられたくらいだから、牛を食っても罰(ばち)も当るめえ」「罰が当るどころの沙汰ではございません、至極高味でげして、清潔無類な肉類でげす、ひとたびこの味を占めた上は、ぼたんや紅葉(もみじ)は食えたものじゃがあせん」「そうか、牛というやつは清潔な肉かい」「清潔でございますにもなんにも、こんな清潔なものを、なぜ日本人はこれまで喰わなかったのでげしょう、西洋では千六百二十三年前から、専(もっぱ)ら喰うようになりやした」「くわしいな、千六百二十三年という年紀を何で調べた」「福沢の書いたものでも読んでごらんあそばせ、あちらではその前は、牛や羊は、その国の王様か、全権といって家老のような人でなけりゃあ、平民の口へは入らなかったものでげす、それほどこの牛というやつは高味なものでげす、それを日本ではまだ野蛮の風が失せねえものでげすから、肉食をすりゃ神仏へ手が合わされねえの、ヤレ穢(けが)れるのと、わからねえ野暮(やぼ)を言うのは、究理学をわきまえねえからのことでげす」「ふーん、日本は野蛮の風が失せねえから、それで肉食をいやがるのだと、これは笑い草だ、生き物の肉をむしゃむしゃ食う毛唐の奴の方が野蛮なんだ、勝手な理窟をつけやがる」と神尾が冷笑しました...
中里介山 「大菩薩峠」
...大方比田さんでも書いたんでしょう」健三はついこの間会った比田の万事に心得顔な様子と...
夏目漱石 「道草」
...――これは間違いもなくお品さんですぜ」ガラッ八は心得顔に一つ目の橋を渡って両国の方へ早走りになります...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...また昔の病いが出たのかも解りませんよ」番頭の和七は心得顔でした...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...路地の外でハタと心得顔のガラッ八に逢いました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...心得顔にツと立って座蒲団を持って来たのは...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...「銭形の親分か――いや先刻(さっき)から待っていたよ、いずれ親分が来るだろうと思ってな」有徳の浪人阿星右太五郎は、ひどく心得顔に、平次と八五郎を迎えたのです...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...と仲居は心得顔に出て行った...
火野葦平 「糞尿譚」
...心得顔に土足で何処へでも入り込む...
矢田津世子 「※[#「やまいだれ+句」、第4水準2-81-44]女抄録」
...おいらも一緒に行こう」心得顔(こころえがお)で万太郎の先に立ち...
吉川英治 「江戸三国志」
...風老、運転台に心得顔、詩人に年なし、ハンチングをかぶって、赤ら顔のこのオプティミスト(楽天家)、すぐ後ろへ肱を乗っけて、さっそくコース説明、天候予測、談笑風発...
吉川英治 「随筆 新平家」
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