...けれど私は引き分けられてからも...
上田広 「指導物語」
...「今日までは、何人にも知れずに済みましたが、このさき、どんなことで露われるか判りません、もしそんなことになると、お父さんはああいったような厳格な方だから、どんなに怒るか判りません、私は覚悟をきめておりますから、引き分けられて、一室に監禁せられても諦めますが、あなたの御身分にかかわりますから、二人でどこかへ往って、人の目に著かない処で、静かに暮そうじゃありませんか」「そうです、私もそう思っていたのですが、これという知己(しりあい)の者がなくて困っております、ただ私の家にもと使っていた金栄(きんえい)という男が、鎮江で百姓をしているということを父から聞いてますが、それは義理がたい男だそうですから、それでもたよって往ってみようじゃありませんか」二人はその朝の五更の頃、そっと家を逃げだして、瓜州(かしゅう)から揚子江の流れを渡り、鎮江府の丹陽(たんよう)へ往って、目ざしている金栄の家のことを聞いてみるとすぐ判った...
田中貢太郎 「金鳳釵記」
...熱心にも程がある度が過ぎては体に毒だからと宥(なだ)めるようにして二人を引き分けた...
谷崎潤一郎 「春琴抄」
...引き分けられてもなお...
壺井栄 「赤いステッキ」
...衛士(えじ)だか行司だかが飛び出して来て引き分け引き止める...
寺田寅彦 「田園雑感」
...それで一旦引き分けて中入り(アントラクト)になった...
久生十蘭 「ノンシャラン道中記」
...私たちは、引き分けられた...
ブロンテイ 十一谷義三郎訳 「ジエィン・エア」
...そうすればあの男はきっとぼくたちを引き分けてしまう...
マロ Malot 楠山正雄訳 「家なき子」
...いずれそうした日のなければならない母と子が今のように引き分けられていることを明石夫人は悲しんでいるであろうし...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...冷たい手に引き分けられてしまった少年の日の恋の思い出を語っていたが...
紫式部 與謝野晶子訳 「源氏物語」
...負けるくせに辛抱づよく闘ふ鉄は引き分けてやつても戦ひを挑んできかなかつた...
室生犀星 「鉄の死」
...引き分けて遣りたいものだということを...
森鴎外 「ヰタ・セクスアリス」
...互ひ互ひを一層はやく引き分けるのを待つてゐる間...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...いい機(しお)を引き分けたので...
吉川英治 「剣難女難」
...引き分ける潮どきばかりうかがっていた...
吉川英治 「私本太平記」
...ふたりを引き分けて連れて来いっ」戴院長と聞いては驚かぬ者はない...
吉川英治 「新・水滸伝」
...ルパンが飛びかかって二人を引き分けようとする時...
モウリス・ルブラン 新青年編輯局訳 「水晶の栓」
...長い垂れ幕もまた静かに引き分けられた...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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