...本堂から暗い廊下を渡って庫裡へ挨拶にいった...
大鹿卓 「渡良瀬川」
...腰に手をやつて見たり自分の影法師を面白さうに見ながら悠々として庫裡の方に行つた...
高浜虚子 「斑鳩物語」
...が、一言贅言(ぜいげん)を挟(さしはさ)ませて下さるならば、読者も御承知のとおり浄土宗の総本山巨刹(きょさつ)増×寺は、今より二十八年前の明治四十二年三月二日の夜半、風もなく火の気もなき黒本尊より突如怪火を発し、徳川三百年の由緒を語る御霊屋(おたまや)を除き、本堂、庫裡(くり)、護国堂等壮麗なる七堂伽藍(がらん)いっさいを灰燼(かいじん)に帰せしめた...
橘外男 「蒲団」
...庫裡(くり)から本堂に通ずる長い廊下は...
田山花袋 「ある僧の奇蹟」
...今と少しも変らないこの庫裡に……...
田山花袋 「ある僧の奇蹟」
...庫裡(くり)の藁葺(わらぶき)屋根と風雨(ふうう)にさらされた黒い窓障子が見えた...
田山花袋 「田舎教師」
...和尚さんは隙(すき)をみて庫裡のほうへ逃(に)げて行ってしまった...
田山花袋 「田舎教師」
...庫裡(くり)と本堂に兵士が七八人も来て泊まった...
田山花袋 「田舎教師」
...本堂も庫裡(くり)も山門も納所(なっしょ)もごっちゃなんで...
中里介山 「大菩薩峠」
...庫裡の物置から古いねんねこを盗み出し...
野村胡堂 「新奇談クラブ」
...お嬢さんが庫裡へ行った――その後からお茶も呑まずについて行ったというのは...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...庫裡(くり)の内部を造りかえた間に合せの役所であった...
本庄陸男 「石狩川」
...窖(あなぐら)から姿を消したお初、危なかしい吊梯子(つりばしご)を、スルスルと見事な足さばきで上ってしまうと、諸手(もろて)で、うんと突ッ張って、揚げ蓋をあげて、庫裡へ出ると、そこに、ぼんやりと行灯(あんどん)がともし放しになっている...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...庫裡(くり)の煤で光つてゐる梁や柱や板の間に...
室生犀星 「京洛日記」
...おれは膳の方を出しておくから」法達が庫裡(くり)の方へかけこむと...
吉川英治 「江戸三国志」
...客院用の酒壺はもちろん庫裡(くり)に充ちていよう...
吉川英治 「私本太平記」
...庫裡(くり)へ火を放(つ)け始めたかのように思われた...
吉川英治 「新書太閤記」
...微かな物音が更けるまで庫裡(くり)に聞えた...
吉川英治 「親鸞」
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