...その巧緻その汚穢(をわい)を掩(おほ)ふに足らず...
ハンス・クリスチアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 森鴎外訳 「即興詩人」
...眼をむきだしたりして居る巧緻な人形の表情を覗き込むようにした...
谷崎潤一郎 「少年」
...矢張細かい巧緻な筆で...
田山録弥 「自他の融合」
...その異常な題材、印象的な人物、劇的な事件、巧緻な手法、等、等によって、この物語はあらゆる読者を深く愉しませるのみならず、また、終りの方に表現されているその主要観念は、愛や人生そのものについて考えさせるものをも含んでいる...
チャールズ・ディッケンズ 佐々木直次郎訳 「二都物語」
...浮世絵は遂(つい)に寛政時代の繊巧緻密(ちみつ)の極点に到達せるなり...
永井荷風 「江戸芸術論」
...その巧緻精妙な技巧の末を競ったのです...
野村胡堂 「奇談クラブ〔戦後版〕」
...いづれも練達巧緻の技量を有しながら兎角に志を得ない轗軻不遇の人々許り...
正岡容 「異版 浅草燈籠」
...ひねくれていて巧緻(こうち)なりし市馬...
正岡容 「随筆 寄席囃子」
...画面一ぱいに大きな車輪を描いたその手際も広重には珍しく大胆でありその車輪の彼方に展開される品川の海と雨後の虹と砂地に喰べ棄てた西瓜の紅と草鞋の黄と犬ころの白茶いろとの極めて巧緻な色調と構図とは広重画中に於ても屈指の絶品なのではあるまいか...
正岡容 「山の手歳事記」
...しゃがんだようなかっこうをして巧緻に踊った...
正岡容 「寄席」
...すでに死というものを覚悟し切ってしまっている姿と、みすぼらしい長兵衛の様子を見てこの人に何すがれるものかという軽蔑の心持とがまざまざそこから感じとられて、巧緻である...
正岡容 「我が圓朝研究」
...巧緻(こうち)な斬新(ざんしん)な陰影を欠いた...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「ヴェニスに死す」
...巧緻を極めた繪本を閉ぢた...
水上瀧太郎 「貝殼追放」
...自然の優雅さとゆきとどいた巧緻さというものは...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...思うてもひとびとの心を厳粛に表情づける奥の奥なる自然の巧緻があった...
室生犀星 「或る少女の死まで」
...しかも巧緻に描きあげられてあった...
室生犀星 「蛾」
...巧緻な樹木の繁りを見せて矢代は倦きなかった...
横光利一 「旅愁」
...しかも一点の瑕(きず)なく彫琢(ちょうたく)の巧緻(こうち)染付(そめつけ)の豪華(ごうか)絢麗(けんれい)なこと...
吉川英治 「増長天王」
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断念する 貞信公 転んでもただは起きない
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