...その手先が、まるで虫のはう様に、少しずつ、少しずつ、にじり寄って、とうとう倭文子のつめたい左手にさわった...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...座敷毎に少しずつ地色は違うけれども...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...ぜんたい東京の人間は皆少しずつはにかみ屋である...
谷崎潤一郎 「蓼喰う虫」
...その後だんだんに少しずつわかって来た...
寺田寅彦 「蓄音機」
...しかも少しずつ違った特徴をもった植物の大家族といったようなものが数々あり...
寺田寅彦 「日本人の自然観」
...引き続いて言葉は少しずつ出てきたが...
ビクトル・ユーゴー Victor Hugo 豊島与志雄訳 「レ・ミゼラブル」
...その時世子の食べられる飯その他あらゆる物が少しずつ盛ってあるのを...
内藤鳴雪 「鳴雪自叙伝」
...そして、呼吸をするたびに、少しずつ、押し出されて来て、一管が、切口から食み出すと同時に、すぐ、そのつづきが、だらだらと出て、切口から垂れ下った...
直木三十五 「南国太平記」
...それは少しずつ降りてくる...
中島敦 「牛人」
...少しずつ少しずつは動いて行きます...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...少しずつ、少しずつザイルがのびていった...
早川鮎子 「穂高岳屏風岩にて」
...折を見て少しずつ持ち出してきてもらえまいか...
久生十蘭 「犂氏の友情」
...少しずつ心が動揺しだしていた...
堀辰雄 「聖家族」
...心に思うことが各々の胸で少しずつ異った方向に離れだしたのであろう...
本庄陸男 「石狩川」
...まだ上等とは申されませんが玉子の黄身二つへ砂糖を大匙二杯よく混ぜてツブツブのないようにして二合の牛乳を少しずつ注(つ)いで行ってそれを湯煎にします...
村井弦斎 「食道楽」
...上方のほうで仕出したこはぜが穿(は)き脱ぎに手軽なのと穿いたかたちが緊まるのとでその年の春あたりから江戸でも少しずつ用いはじめていた...
山本周五郎 「柳橋物語」
...女子の職業範囲が少しずつ広がって行くといっても...
与謝野晶子 「「女らしさ」とは何か」
...少しずつ黄色が目立ちはじめるのは...
和辻哲郎 「京の四季」
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