...湿った土くれを踏む長靴の音が...
梅崎春生 「桜島」
...土くれの匂いなどはなく...
海野十三 「少年探偵長」
...そこらの石ころの下、土くれのかげ、または置き腐れになった古蓆(むしろ)のなか――といったような、ついこないだまで霜柱に閉じられていた「忘却」と「睡眠」との国から、いろんな草が、小さな獣のような毛むくじゃらな手や、または小鳥のように細めに開けた怜悧そうな眼を覗けているのを数知れず見つけるではないか...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...土くれの蔭までもかき分けて...
薄田泣菫 「艸木虫魚」
...僕はあしもとの土くれをひとつ蹴(け)って...
太宰治 「彼は昔の彼ならず」
...土くれにしがみついて...
太宰治 「如是我聞」
...また田舍の土くれ男を夫に持つことについても餘り進んではゐなかつた...
田山花袋 「道綱の母」
...私らが刻苦精励進めた内装の作業とは――土くれから生み出された...
O. H. ダンバー O. H. Dunbar The Creative CAT 訳 「長い部屋」
...形のない土くれしか製造できないのです...
カレル・チャペック Karel Capek 大久保ゆう訳 「RUR――ロッサム世界ロボット製作所」
...頭の上からは、バラバラと散る小石、土くれ、苔の塊(かたま)り...
野村胡堂 「大江戸黄金狂」
...土間の土くれを濡らします...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...うんと空氣を含んだ眞つ黒な土くれですが...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...僕は君んとこのやこの爺さんのとこの土くれをかき集めて燃やしてたんだ...
バルザック Honore de Balzac 中島英之訳 「ゴリオ爺さん」
...彼のからだは木の株や土くれの上を翻筋斗(もんどり)うつて...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳 「ディカーニカ近郷夜話 前篇」
...不幸にもプロメテウスに作られたる最初の土くれよ...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...半面は焼け爛(ただ)れて偏(ひと)へに土くれの如く...
夢野久作 「ドグラ・マグラ」
...口は大きな掌(て)にふさがれ、咽(のど)は、太い腕に絡(から)まれている……それを、はね返そうとする白い足の力に、草の葉が散り、土くれが飛び、蛍草が揉(も)みにじられた...
吉川英治 「鳴門秘帖」
...また土くれのようでもあり...
ルナール Jules Renard 岸田国士訳 「博物誌」
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