...口喧しい老人より」北畠老人は懐中(ふところ)から眼鏡をとり出して...
薄田泣菫 「中宮寺の春」
...殊に大阪の兄はさういふ方には喧しい方ですから……」と言つた...
高濱虚子 「續俳諧師」
...「叔父さんのところへ行つてこやうか、」「お疲れでございませうが、ちよつと行つてゐらつしやるが宜しうございませう、」「さうだね、やつぱり行つてこやう、喧しいからな、」「それが宜しうございますよ、では、お浴衣を出しませうか、」「好い、このままで行つて来る、」「さうでございますか、では、ちよつと行つてゐらつしやいまし、」「行つてこやう、」義直は手にしてゐた麦藁帽子を女中の手に渡し、それから羽織を脱いでそれも渡した...
田中貢太郎 「黒い蝶」
...こゝのおかみさんは口喧しい人だ...
種田山頭火 「行乞記」
...口喧しいお母さんの留守を利用して...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「天才」
...……ママはあんな口喧しい怒り虫でしょう...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「天才」
...久米君は耳のそばで喧しい話をするのを聞きながら平然として書いてゐるのでした...
近松秋江 「初雪」
...覘いている竹村君の後ろをジャン/\と電車が喧しい音を立てて行くと...
寺田寅彦 「まじょりか皿」
...轡虫(くつわむし)などは喧しい程で...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...新カント派の発生と共に「認識論」は一時わが国などでも非常に喧しいテーマとなったが...
戸坂潤 「現代哲学講話」
...いつも喧しいことばかり云っていたこと...
火野葦平 「糞尿譚」
...彼等は決して喧しい物音を立てなかつた...
堀辰雄 「鼠」
...歴史的なものは偶然的であると云はれる場合に起る喧しい論爭も多くはこれにもとづいてゐる...
三木清 「歴史哲學」
...また優陀摩仙が一たび神足を失して、水陸到る処物の声に正念を擾(みだ)されたちゅう譚から出たらしいは、この辺で熊野の神が、田辺町より三里足らずの富田の海辺に鎮坐し掛かると、波の音が喧しい、それを厭(いと)うて山へ上ると松籟(しょうらい)絶えず聞えるので「波の音聞かずがための山籠(ごも)り、苦は色かへて松風の声」と詠じて、本宮へ宿替えされたてふのだ...
南方熊楠 「十二支考」
...彼方でも此方でも喧しい...
吉江喬松 「山岳美觀」
...私はその喧しい唸り声の中に『今に――座が焼けているんだ』そんな言葉をハッキリ聴きとることが出来るのでございます...
蘭郁二郎 「幻聴」
...辨當賣の喧しい聲々の間に窓を開いて仰ぐだけに...
若山牧水 「樹木とその葉」
...「神は死んだ」という喧しい宣言のあとで...
和辻哲郎 「『偶像再興』序言」
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