...その時、その喉(のど)から、鴉(からす)の啼くやうな聲が、喘ぎ喘ぎ、下人の耳(みゝ)へ傳はつて來た...
芥川龍之介 「羅生門」
...しかもそれが父の死を知ったばかりの悲しみの中にあるべき身でありながら――園はさながら魍魎(もうりょう)の巣の中を喘ぎ喘ぎ歩いていくもののように歩いた...
有島武郎 「星座」
...喘ぎ喘ぎ振るアイスアックスに...
石川欣一 「可愛い山」
...喘ぎ喘ぎのたくらして行った...
大阪圭吉 「動かぬ鯨群」
...「……いま行った……気狂い自動車(やろう)ですよ……」怪我人が喘ぎ喘ぎ云った...
大阪圭吉 「白妖」
...勾配の高い折れ曲つた羊齒の路を喘ぎ喘ぎ登つて行つた...
田山花袋 「歸國」
...喘ぎ喘ぎ私を抱擁し...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「妻」
...近在を駈け廻って帰ったデカやピンが喘ぎ喘ぎ来ては...
徳冨蘆花 「地蔵尊」
...年寄り夫婦が手をつないで喘ぎ喘ぎ登ってゆく...
永井隆 「長崎の鐘」
...喘ぎ喘ぎ分け登ることをいうのである...
久生十蘭 「南極記」
...喘ぎ喘ぎ歯を食ひしばつてゐるのである...
北條民雄 「続癩院記録」
...数日前そんな旅先きから自分を運んで来た上り列車が此の村の傾斜を喘ぎ喘ぎ上りながら...
堀辰雄 「菜穂子」
...五今松と桃輔を乗せた幌を深く掛けた二台の人力車が喘ぎ喘ぎ雪の牛坂を上りきると...
正岡容 「寄席」
...喘ぎ喘ぎ鉄桟を切なく攀る千鶴子の手を...
横光利一 「旅愁」
...喘ぎ喘ぎ呼吸をしてゐた...
ピエル・ロチ Pierre Loti 吉江喬松訳 「氷島の漁夫」
...ぐるぐると回りながら十八メートルの古代の石造円筒を喘ぎ喘ぎ登る間...
H. P. ラヴクラフト H.P.Lovecraft The Creative CAT 訳 「狂気の山脈にて」
...黒吉は喘ぎ喘ぎ考え続けた...
蘭郁二郎 「夢鬼」
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