...禿げた頭を唐茄子(トマト)のやうに真つ赤にして...
薄田泣菫 「茶話」
...また唐茄子の赤い実が眼についた...
種田山頭火 「行乞記」
...あるとき唐茄子の苗をかつて植ゑたらそだつにしたがひ様子がかはつてきてたうとう瓢箪になつた...
中勘助 「銀の匙」
...郷に入り鬼怒川を過ぐ異郷もあまた見しかど鬼怒川の嫁菜が花はいや珍らしきわせ刈ると稻の濡莖ならべ干す堤の草に赤き茨の實我がいへにかへりてめづらしき蝦夷の唐茄子蔓ながらとらずとぞおきし母の我がため唐茄子は廣葉もむなし雜草(あらぐさ)の蚊帳釣草も末枯にして明治三十九年鬼怒沼の歌上脚にカルサン...
長塚節 「長塚節歌集 中」
...唐茄子に糸瓜(へちま)が実ったりして来た...
中野秀人 「第四階級の文学」
...唐茄子(とうなす)のうらなり君が来ていない...
夏目漱石 「坊っちゃん」
...唐茄子(とうなす)が二ツなっていた...
長谷川時雨 「チンコッきり」
...唐茄子に乾棹(ほしざお)とられてだよ...
長谷川時雨 「チンコッきり」
...姉(あね)さま唐茄子(とうなす)...
樋口一葉 「われから」
...麦飯を喰(くら)い唐茄子(とうなす)の味噌汁を啜(すす)り...
福澤諭吉 「福翁自伝」
...入って行くとすっかり年老(としと)って見ちがえてしまったバンカラの唐茄子が知らない男と獅子をつかっている...
正岡容 「随筆 寄席風俗」
...続いて唐茄子がやはり知らない男と「神力万歳」というむやみに相手の真似ばかりしたがる可笑味のものを演る...
正岡容 「随筆 寄席風俗」
...中入り過ぎに寅子のチョボで、小仙の松王、海老蔵の源蔵、唐茄子の千代、松太郎の熊谷、もう一人名前をしらないやせぎすの男の敦盛で、これもいっぱいに活かしていてなかなかにコクがあった...
正岡容 「随筆 寄席風俗」
...お客さまさえよろこんでくだされば南瓜(かぼちゃ)が唐茄子(とうなす)が南京だろうとすぐにオイソレと門を開いて入れてくれるものだ...
正岡容 「初看板」
...「この大嘘つき」「ろくでなし」「恥知らずのぺてん師」「おっちょこちょい」「唐茄子(とうなす)野郎」など...
山本周五郎 「ゆうれい貸屋」
...メロンは唐茄子(なす)のやうな形も中味の色も有(も)つた真桑瓜(まくはうり)に似た味の瓜で氷で冷(ひや)してあるのを皮を離して砂糖を附けて食べるのである...
與謝野寛、與謝野晶子 「巴里より」
...君はその唐茄子(とうなす)でも...
吉川英治 「松のや露八」
...唐茄子氏(とうなすうじ)」「はっ」庄次郎は...
吉川英治 「松のや露八」
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