...もうお暇(いとま)にいたしましたら……お別れする前にもう一度お祈りをして」「お祈りをわたしのようなもののためになさってくださるのは御無用に願います」葉子は和らぎかけた人々の気分にはさらに頓着(とんじゃく)なく...
有島武郎 「或る女」
...静かに和らぎて胸の中深く...
スワンテ・アウグスト・アーレニウス Svante August Arrhenius 寺田寅彦訳 「宇宙の始まり」
...憤怒今より和らぎて其激しさを減らす時...
ホーマー Homer 土井晩翠訳 「イーリアス」
...却って安らかな和らぎさえも覚えるのである...
豊島与志雄 「悲しい誤解」
...額には仄かな和らぎの色が浮んでいました...
豊島与志雄 「古木」
...多少心が和らぎはしたけれど...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...主人公の上におりてきた年齢からくる和らぎをもってして...
ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」
...男は頬骨の張った赤黒い顔に――僕はその時初めて彼の顔を見たのであるが――人なつっこい和らぎを浮べて...
豊島与志雄 「道連」
...すっかり秋風が立ち初めて、日の光も和らぎ、蜩(ひぐらし)も鳴かず、夜は数々の虫ばかり騒々しい頃となった...
火野葦平 「糞尿譚」
...厳しい目が和らぎ...
フレッド・M・ホワイト Fred M. White 奥増夫訳 「謎の四つ指」
...神とも世とも和らぎながら暮すべきはずの時代からです...
トオマス・マン Thomas Mann 実吉捷郎訳 「トニオ・クレエゲル」
...すっかり禿(は)げ上った白髪を総髪に垂らして、額(ひたい)に年の波、鼻隆(たか)く、褪(あ)せた唇元(くちもと)に、和らぎのある、上品な、六十あまりの老人だ...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...和らぎに充たされた若者の面上には...
三上於菟吉 「雪之丞変化」
...涙の中にある和らぎが予想されます...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...柿の幹が雨にぬれて黒く見えるのも気が和らぎます...
宮本百合子 「獄中への手紙」
...あるあきらめめいた秋の日の和らぎのままに美しく眺めた...
横光利一 「旅愁」
...しかしわれわれの心が和らぎと休息とを求めている時には...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
...和らぎと優しみとに対する心からの憧憬の上に...
和辻哲郎 「古寺巡礼」
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