...それは兎も角、信吾が其事を調子よく喋る時は、血の多い人のする樣に、大仰に眉を動したり、手を振つたり、自分の言ふ事に自分で先づ感動した樣子をする...
石川啄木 「鳥影」
...兎も角、彼女は寝台の上を稲妻の様にピカピカと光るものを見た...
江戸川乱歩 「江川蘭子」
...それは兎も角、この場合、危急を脱する為には、一応意識を失って見せなければならぬ...
江戸川乱歩 「吸血鬼」
...兎も角も男を作り候...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...「兎も角も、本署へ同行して貰いましょう...
豊島与志雄 「電車停留場」
...兎も角耕作した土地からとる租税と考へられて居るので...
内藤湖南 「禹貢製作の時代」
...用件は言わずに、兎も角、二人で大急ぎでやって来てくれと言うのです...
野村胡堂 「死の予告」
...俺は兎も角八丁堀へ行つて來る...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その晩は、久留馬登之物ともう一人の仲間が、親分に喧嘩を吹かけ、手足を折るか、淺傷(あさで)を負はせるか、兎も角、旅を續けられないやうにする筈でしたが、親分が相手にならなかつたので、それも駄目」「――」「私の部屋に逃げ込んだのを幸(さいは)ひ、道づれになつて、親分の氣を外(そ)らせようとしましたが、親分の目は一刻半刻も、六千兩の荷から離れることではございません」「――」「仲間の者はジレ込んで、いよ/\親分を殺すことに決めました、――手引はこの私と、手筈まで調つた時、私は、何うしたことか、親分を殺すのがイヤになつたのでございます...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...兎も角浴衣(ゆかた)でも借りて歸つちやどう?」「さうね」お勢もツイその氣になりました...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...その日は兎も角引揚げた平次は...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...兎も角巣鴨へ行つて見ようぢやありませんか...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...兎も角も二人がかりで押へて...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...「兎も角行つて見よう...
野村胡堂 「錢形平次捕物控」
...兎も角も雨露(うろ)を凌(しの)ぐに足る椽の下の菰(こも)の上で...
二葉亭四迷 「平凡」
...兎も角も自分の作が活字になったのが嬉しくて嬉しくて耐(たま)らない...
二葉亭四迷 「平凡」
...」兎も角、世にも不思議な間断なき騒ぎを含んだ街角の一軒の酒場である...
牧野信一 「山彦の街」
...それは兎も角も、山崎久次郎を以て兄とする五郎作は、此文に見えてゐる五郎作即ち永井榮伯の兄の子の五郎作ではなからうか...
森鴎外 「壽阿彌の手紙」
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