...リボンも顔も単(ひとえ)に白く、かすりの羽織が夜の艶(つや)に、ちらちらと蝶が行交う歩行(あるき)ぶり、紅(くれない)ちらめく袖は長いが、不断着の姿は、年も二ツ三ツ長(た)けて大人びて、愛らしいよりも艶麗(あでやか)であった...
泉鏡花 「婦系図」
...殆どお揃いと云ってもいい不断着のワンピースに包まれていたが...
江戸川乱歩 「悪霊」
...着物は不断着は覚えていないが...
谷崎潤一郎 「陰翳礼讃」
...不断着の茶っぽい...
近松秋江 「黒髪」
...不断着のままでヒョコヒョコと出かけた...
徳田秋声 「新世帯」
...不断着のままで子供をつれて近所を彷徨(うろつ)いたり...
徳田秋声 「爛」
...年のころ五十ばかりの博士は、不断着のまま、辻俥(つじぐるま)などに乗って、たまにそこへやって来るのであったが、それは単に三月とか四月とかの纏まった生活費と養育費とを渡しに来るだけに止まっていた...
徳田秋声 「爛」
...日の暮るるも知らで遊び歩くは不断着の尻端折(しりはしょり)にしくぞなき...
永井荷風 「桑中喜語」
...背広は不断着(ふだんぎ)のものにて日本服の着流しに同じ...
永井荷風 「洋服論」
...銘仙の不断着のまま門を出た...
夏目漱石 「それから」
...代助は不断着のまま...
夏目漱石 「それから」
...細君は夫の留守中に自分の不断着をことごとく着切ってしまった...
夏目漱石 「道草」
...奥さんの不断着でも」と勧めた...
夏目漱石 「門」
...御米は不断着(ふだんぎ)を脱ぎ更えて...
夏目漱石 「門」
...どうかして不断着(ふだんぎ)を焼き切ってしまうか...
ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogolj(Николай Васильевич Гоголь) 平井肇訳 「死せる魂」
...不断着を背負つて逃げはすまいぢやないか...
エドガア・アルラン・ポオ Edgar Allan Poe 森林太郎訳 「病院横町の殺人犯」
...東北などの冬の不断着(ふだんぎ)は始めから...
柳田国男 「木綿以前の事」
...良人のために縫いあげられた着心地のいい不断着というやつは……全くへんに情にからんでくる代物だよ! じつに工合がいいし...
レスコーフ Nikolai Semyonovich Leskov 神西清訳 「真珠の首飾り」
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