...待ち設(もう)けたよりももっと早く――園は少し恥らいながら三和土の片隅に脱ぎ捨ててある紅緒(べにお)の草履(ぞうり)から素早く眼を転ぜねばならなかった――しめやかながらいそいそ近づく足どりが入口の障子を隔てた畳の上に聞こえて...
有島武郎 「星座」
...三和土(たたき)に...
泉鏡花 「薄紅梅」
...ガランとした三和土(たゝき)の上に立つて...
犬養健 「愚かな父」
...手の甲(こう)をかえして拳(こぶし)の先で三和土の上をあちこち触れてみた...
海野十三 「ゴールデン・バット事件」
...三和土の上が湿りを帯びていながら...
海野十三 「ゴールデン・バット事件」
...汚い下駄の散乱した三和土(たたき)に降り立った...
高見順 「如何なる星の下に」
...「まあね……」と彼女は三和土の上で靴を脱いでる夫の肩に手を置いて声だけを難儀らしくして云つた...
中原中也 「蜻蛉」
...曰「暗く湿つぽい三和土の上で狆が※をした」どんな男でも寡婦と云ふと、小奇麗な格子、三和土、そして狆を想起する常識を持ち合はして居よう...
仲村渠 「詩と詩集」
...それから庭下駄(にわげた)で三和土(たたき)を踏む音が二足三足したと思うと...
夏目漱石 「彼岸過迄」
...それを通り越すと幅一間ほどの三和土(たたき)が真直(まっすぐ)に正面まで通っている...
夏目漱石 「満韓ところどころ」
...格子の内は三和土(たたき)で...
夏目漱石 「門」
...格子(かうし)の内(うち)は三和土(たゝき)で...
夏目漱石 「門」
...男は私を玄関の三和土(たたき)の上框(あがりかまち)に座布団を置いて坐わらせた丈で...
西尾正 「陳情書」
...三和土(たたき)にして金魚を飼ってみようと言っていましたよ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...人聲と穿物(はきもの)の三和土(たゝき)にこすれる雜音などが...
水上滝太郎 「大阪の宿」
...内部は三和土(たたき)のありふれた湯殿のつくりであった...
宮本百合子 「上林からの手紙」
...「ごめんよ」と三和土を入ってくる爺さんの下駄の音である...
矢田津世子 「神楽坂」
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