...万々一、実家(さと)の親が困窮して、都合に依って無心合力(ごうりょく)でもしたとする...
泉鏡花 「婦系図」
...万々一のことがあってはと...
江戸川乱歩 「黒蜥蜴」
...万々一非常に不幸な場合になったとしても近世文明の精神と世界国際の関係とは独り一国をして斯の如き悲境に立至らしめる事はあるまいと云うような気がした...
永井荷風 「花火」
...万々一、マドロスが、あの轍(てつ)を踏んで、あの時とは場合も違うし、清吉と、マドロスとは、性格に於ても比較にならないが、それでも、万々一……清吉のことを考え出してみると、駒井も、マドロスのために不安がこみ上げて来ました...
中里介山 「大菩薩峠」
...それよりもなおいけないのは、万々一、そんなことは予想するさえいやで、また予想するほどの必要が微塵(みじん)もないことですけれども、島の検分に赴(おもむ)いた船長さんと田山さんの一行の上に、何かの異変が――というようにまでもお松は念を廻(めぐら)してみるのであります...
中里介山 「大菩薩峠」
...漏らしてはならぬぞ、万々一、人の耳に入ったら最後、江戸中の騒ぎにならずには済むまい」「ヘエ――」笹野新三郎は自分も膝行(いざ)り寄って、平次を小手招(こてまね)ぎました...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...万々一死相が本当にしても人間の面(つら)は暦じゃねえ...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...万々一暮しに困るとか...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...――万々一お小夜がどうかすると?」「そんなことは考えても見ませんよ」金之助は向っ腹を立てたらしく...
野村胡堂 「銭形平次捕物控」
...老中が家臣に毒を盛られてはならぬな」「ハッ」「万々一にも左様の不心得者があれば...
野村胡堂 「礫心中」
...だが万々一内壁まで破れるような椿事(ちんじ)が起った場合には?――というので...
服部之総 「黒船前後」
...万々一もこの二流抱合の萌(きざし)を現わすことあらば...
福沢諭吉 「学者安心論」
...小平義雄が万々一死刑を免れ...
正岡容 「艶色落語講談鑑賞」
...万々一、今日やまと新聞の附録あたりに保存されてゐるならば、講談と人情噺と浪花節と歌舞伎との「天保六花撰」の差違を詳しく研究、後人にのこしておき度いと考へてゐる...
正岡容 「下谷練塀小路」
...万々一にも大入りだったらかえっておいでなすったとたん...
正岡容 「小説 圓朝」
...誠に万々一之御備に漢科之者御供被仰付候儀と奉存候...
森鴎外 「伊沢蘭軒」
...(b)ところで万々一...
ミシェル・エーケム・ド・モンテーニュ Michel Eyquem de Montaigne 関根秀雄訳 「モンテーニュ随想録」
...もしも万々一それが悪かったらどうしよう...
柳田國男 「夢と文芸」
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