...わざと九時まで時を過してやっとこさと出て行った...
魯迅 井上紅梅訳 「村芝居」
...「なに……それが、あの……その」と、いままでの元気はどこへやら、ホールは叱(しか)られた猫(ねこ)のようにいくじなくちぢまって、しばらくたってから、やっとこさで、「おまえ、新しいお客(きゃく)があったってね...
ハーバート・ジョージ・ウエルズ 海野十三訳 「透明人間」
...やっとこさでじぶんの部屋(へや)におちついたとき...
ハーバート・ジョージ・ウエルズ 海野十三訳 「透明人間」
...やっとこさ前列になったところで...
高見順 「如何なる星の下に」
...海に巧者な船頭さんの云うことじゃ」父親はやっとこさと胴の間(ま)へ入って忰(せがれ)の前へ坐った...
田中貢太郎 「参宮がえり」
...それを右の手に持ちやっとこさと乗ったが...
田中貢太郎 「水郷異聞」
...何人だろう」伯父さんはやっとこさ起きあがって...
田中貢太郎 「餅を喫う」
...わたしやっとこさで...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「かもめ」
...大きな長靴をやっとこさで穿いてから...
アントン・チェーホフ Anton Chekhov 神西清訳 「接吻」
...やっとこさに荷物脊負(せお)うて立出る田舎の叔父の姿を見送っては...
徳冨健次郎 「みみずのたはこと」
...私は歯をくいしばり体を廻転させてやっとこさとうつぶせの姿勢にまでなったがその拍子に思わず イタイ イタイ イタイ イタイ と悲鳴をあげた...
中勘助 「胆石」
...その返事もただやっとこさとうなずくばかりである...
中勘助 「母の死」
...十七日の朝の八時になってやっとこさで組閣を完了...
久生十蘭 「だいこん」
...それに、兄貴から借りた三十円も、大庭親方からの前借りを足して、やっとこさで、出来た...
火野葦平 「花と龍」
...彼はやっとこさその上に這(は)い上って...
堀辰雄 「ルウベンスの偽画」
...重たそうにやっとこさ泳ぐのである...
山本周五郎 「桑の木物語」
...ミイラよミイラのおべべが赤と青そうしておかおが真黒け四つよく似たムクロージ五ついつまでねんねして六つむかしの夢を見て何千万何億年やっとこさあと眼がさめて九つことしはおめでとうとんだりはねたり躍ったりとうとう一貫借りました...
夢野久作 「黒い頭」
...やっとこさで法廷の仕事から解放されて...
レスコーフ Nikolai Semyonovich Leskov 神西清訳 「真珠の首飾り」
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